遠距離で暮らす「国際カップル」が幸せなワケ コロナ禍で恋人が帰国できないケースもある

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行政書士や、仕事先の国際結婚されている方に相談して、何度も足を運びようやく許可へこぎつけた苦労のスタートでした。

そもそもの出会いは、美紀さんが仕事帰りにたまたま立ち寄った都内のバーでお客同士で知り合ったと言います。その後、何度かバーで会ううちに互いに惹かれ合い、すぐに同棲をスタート。

美紀さんのほうが帰宅が遅い日は必ず、ご主人が玄関まで迎えに来て「きれいだね。愛してるよ」と言って、荷物を置く間もなくすぐにハグとキス。美紀さんが疲れて帰ってハグをスルーしようとすると、「ハグをしないなんてどうしたの? 大丈夫なの?」と心配されるほど、愛情をたっぷり受けていた美紀さん。

掃除や洗濯はきれい好きのご主人の仕事で、驚くほどいつも部屋はピカピカ、さらには料理上手で、家事全般すべてやってくれるパーフェクトな夫という夢のような関係です。

無事に籍を入れてから、式はご主人のふるさと、カメルーンで挙げました。

式はこぢんまりとした市民ホールで執り行い、決して豪華といえるようなものではありませんでしたが、ご主人のご両親や兄弟、近隣の方々からも盛大に歓迎され、きれいな民族衣装に身を包んで幸せいっぱいの笑顔でいる美紀さんの写真を見せていただいたときには、困難を乗り越える愛の力を感じました。

ご主人は日本へ来る前は、カメルーンでウォーターサーバービジネスと自動車整備士の兼業をしていたそうですが、国内紛争が激化して、カタールやサウジアラビアなどへ、自動車整備の仕事で出稼ぎへ行くようになったと言います。カメルーンは今も紛争が絶えず、多くの男性が海外へ出稼ぎに行くのが当たり前なのだそうです。

ご主人が美紀さんと出会ったときは、仕事と住まい探しの世話をする日本専用のエージェントを通して来日し、日本への移民申請の手続きをしつつ定職を探していたタイミングだったそうです。

カタールに出稼ぎに行き、再入国できず5年が経った

その後すぐに、都内からさほど遠くない地方のとある工場に就職が決まり、都内から電車通勤をスタート。工場の仕事は手取り20万円ほどで決して高くはないですが、外国人労働者としては悪くはない条件だったようです。

しかし、ご主人の誤算だったのは、想定外の通勤満員電車と、「日本人は英語が話せると思っていた」ということでした。あまりにも低い日本人の英語力には大変驚き、仕事先でもコミュニケーションに随分苦労されたようでした。

結局、1年も経たずして、「日本では稼げない。このままでは美紀と子どもを作って家族を養えない」と仕事を辞めてしまい、カタールへ出稼ぎへ行ってしまったそうです。

予定では、カタールで数カ月間自動車整備の仕事をして日本に戻る予定が、出国する際に再入国許可やほかにも多数の許可書を日本で取得する必要があったのを知らなかったばかりに、なんと再入国ができなくなってしまったのです。

結局、ご主人はカメルーンへ戻り、それ以来なんとご主人と美紀さんは5年間会えていない状態なのです。

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