韓国アシアナ航空、「持ってあと2カ月」の土壇場 買収すべきか否か、悩みが深まるHDC・鄭会長

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HDCにとっても、アシアナ航空の買収、断念ともに決断を下すのは難しい状況だ。HDCがアシアナ航空の買収に名乗り出たのは、住宅市場の景況悪化と今後の先行き不透明感に対処するためだった。航空産業という新たな成長エンジンを確保し、航空産業の派生産業であるホテルや免税店などを含め、事業を多角化させる計算だった。

特に、アシアナ航空の買収はHDCの鄭会長が生死を懸けて決断したと財界では受け止められている。鄭会長の経営スタイルは大規模投資を行うよりは、安定した財務管理を行うことで有名だ。そのため、HDCはこれまで無借金経営を続けてきた。

買収しても資金面で「焼け石に水」

そんな鄭会長が、2兆5000億ウォンという巨額資金を動員して国内2位の航空会社買収に名乗り出たこと自体、グループの将来のため果敢な決断を下した結果だと言える。HDC関係者は「鄭会長は普段からこまやかな財務管理で安定した企業経営を行ってきた。無借金経営という道から一度も外れなかった鄭会長がアシアナ航空を買収するということは、鄭会長が買収に生死を懸けたということだ」と打ち明ける。そのため、買収を簡単には断念しないだろうという見方がある。

一方で、現状ではHDCが買収を強行することも厳しい。コロナ危機はいつ終わるのかさえわからない。アシアナ航空に資金を投じることは、韓国のことわざで「底が抜けた瓶に水を注ぐ」、すなわち「焼け石に水」になる可能性が高いためだ。

アシアナ航空の経営を正常化させようと水=金を注いでしまうと、逆にHDCグループ全体の経営が揺らぎかねない。航空業界関係者は「航空業界では、2020年のビジネスは事実上あきらめてしまっている。2021年になっても状況が改善するとは言えない。HDCが政府の支援がないままアシアナ航空を買収すれば、経営改善のための資金投入をいつまでやればいいのか見当もつかないだろう」と指摘する。

HDC側は「アシアナ航空の買収で具体的に話をすることは難しい。買収手続きに沿って買収は進めていく」と述べた。(韓国「中央日報エコノミスト」2020年4月20日号)

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