足立区の「空き家活用」はここまで進んでいる 相談から利活用につながる例が出てきた
いわゆる「空き家特措法」施行から5年が経った。この間、行政代執行、略式代執行や空き家マッチングサイトが増え、空き家利活用が地域活性化につながるとの認識が一般的に広がるなど、さまざまな変化があったが、あまり成果が見られていないのが、自治体による空き家対策だ。
域内の士業、金融機関などが集まって協議会を結成し、相談会を開くなどしても実際の利活用につなげられていない自治体が多いのである。そんな中、確実に成果を上げているのが足立区だ。なぜ、足立区ではうまくいっているのか。
北千住駅周辺が空き家密集地区だった
2015年の空き家特措法以降、足立区は2年間、全区にわたり、空き家調査を実施している。その結果、わかったことのうち、意外だったのは北千住駅周辺、特に東口エリアに空き家が集中しているということ。
ここ数年、人気の街と言われ、若者の姿が増えた北千住だが、一方で千住曙町、柳原などを中心に空き家が増えていたのだ。だが、中には使えそうな空き家もあり、これをそのままにしておくのは惜しいという判断があった。
空き家への対処法としては周囲に迷惑をかけないための管理、除却、そして利活用の3つがあるが、足立区では管理と除却に関しては、一般社団法人まちなか整備・管理機構が成果を挙げてきた。であれば、新たに利活用に取り組んではどうかということになり、民間との連携が模索され、プロポーザルが行われた。
パートナーとして選ばれたのが地元に拠点を持つ建築家・青木公隆氏ら。これを受けて青木氏らが立ち上げたのが空き家活用プラットフォーム「千住Public Network EAST」(以下SPNE)だ。区と地域の不動産会社、商店街関係者、税理士、地域で活動を行う団体などの人たちが中心となった団体である。
2017年度に足立区空き家利活用促進事業としてスタートし、2年半ほどの活動で利活用につなげた物件数が5件、SPNE関係者による空き家利活用が2件、イベント開催回数が2年間で20回、延べ参加人数が約1000人との結果で、現在も継続して相談を受けている空き家が3件ある。相談会などを開くだけで、実際の空き家利活用にリーチできていない自治体が多いことを考えると、かなりの成果を挙げてきたといえるだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら