鉄道各社、コロナ禍で不安な「今後の業績動向」 過去にない影響の大きさ、どうカバーするか

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JR東海は利用低迷を見越してゴールデンウィークや週末など利用客が多い期間中における臨時列車の減便を発表していたが、さらに4月24日から当面の間、臨時列車を含め全体の2割に相当する列車を運休する方針を示した。

通勤電車は、「3月の乗車人員は約2割減」(西武鉄道)、「羽田空港2駅が4割程度減ったが全体では2割程度の減」(京浜急行電鉄)、「3月の最混雑区間(世田谷代田―下北沢間)の混雑率が2割改善した」(小田急電鉄)など、新幹線と比べると持ちこたえていたが、緊急事態宣言発令の翌8日には、東京メトロや東急電鉄の利用者が6割減になるなど大きく落ち込んだ。近畿圏の在来線もJR西日本によれば4月8〜10日に59%減となった。

一部ですでに減便の動き

利用が大きく落ち込む中で、赤羽一嘉国土交通大臣は「公共交通は国民生活や経済活動を支える重要なインフラ」として、鉄道各社への減便要請を行っていない。だが、中小私鉄では千葉県の銚子電鉄がいち早く4月11日に早く運行本数の削減に踏み切り、静岡県の伊豆箱根鉄道などが追随した。

大手でも大阪メトロが4月11〜12日の週末に運転本数の削減を実施。減便によって混雑が増えるという懸念もあったが、同社によれば11日の混雑率は最も利用が多い朝ラッシュ時間帯でも30%未満。減便が激しい混雑を招く事態にはならなかったとして、4月18〜19日の週末にも減便を実施。さらに阪急電鉄も京都線の一部列車を18〜19日の運休、京急は4月18日から土曜日に運行する12両編成の一部列車を8両編成で運行するという発表を行なっている。

もっとも、減便で得られるコスト削減効果は限定的だ。そもそも、鉄道運行にかかる費用は車両や線路の維持管理費用など、運行してもしなくてもかかる費用が多い。減便によって減らせる費用として思いつくのは電気動力費や運転士や車掌などの人件費だが、平均的な鉄道会社なら電気動力費が営業費用に占める割合は5〜6%といったところだ。仮に年間で3割減便したとしても、節約できるのは微々たるものだ。

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