おのずとマツダの取引先からは不安な声が漏れる。マツダ向けに大物部品を国内外で供給する広島県の1次部品メーカーは「今後マツダの世界生産がどれだけ落ち込むのか。生産調整が長引くのではないかとびくびくしている」と話す。
また、プレス部品を軸にマツダ向けの売上高が会社全体の9割を占めるという1次部品メーカーの幹部は国内外の投資回収に遅れが出ることを懸念する。
この会社はマツダに帯同して2014年にメキシコに進出。マツダとトヨタがアメリカで2021年に稼働させる合弁工場向けにも新工場を建設中だ。「メキシコの投資回収もまだ終わっていない。最近は国内にプレス機を増設したばかり。コロナのあおりとはいえ、マツダ向けの売り上げが大きく減るのはしんどい」(同社幹部)。
「リーマンショック時より厳しい」
1次下請けは経営体力が比較的あるが、2次以下ともなると余力がないところも多い。樹脂部品や金型を製造する2次下請けのフルタニ(広島県廿日市市)もコロナで環境が一変した部品メーカーの1つだ。「リーマンショックと比べても影響ははるかに大きい。半年くらいは会社が持つが、それ以上長期化すると影響は想像できない」。古谷幸一社長は厳しい状況に戸惑いを隠せない。
山口県岩国市の工場ではサンバイザーを固定する器具などを製造しているが、マツダの生産調整を受け、4月の稼働日は当初計画から4割少なくなる見込みだ。岩国工場の4月の売り上げは8割減り、会社全体でも4割程度の落ち込みは避けられないという。
自宅待機の従業員には国の雇用調整助成金を活用し、通常の給料の70~75%に当たる休業手当の支払いを検討中だ。フルタニの従業員数は76人で年間売上高は11億円ほど。古谷社長は「小さい会社なので手元資金は潤沢ではない。社員の雇用や経費の問題もあるので、借りられるものは借りる」と話す。近いうちに取引先の民間金融機関に対し運転資金向けの融資を打診するという。
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