日本の「雇用調整助成金」は支給まで遅すぎる

労働者を守るドイツの迅速な支給制度に学べ

日本でも過去最大の緊急経済対策が決まったが(写真:Franck Robichon/Pool via REUTERS)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本では事業規模108兆円に上る過去最大の緊急経済対策が取りまとめられた。外出自粛の影響が直撃する中小企業や個人事業主への資金繰り支援、減収世帯に対する現金給付、失業増加を防ぐ雇用調整助成金の条件緩和、などの政策メニューが並ぶ。

すでに企業倒産や解雇の事例も増えてきており、企業や個人に一日でも早く支援が行き渡ることが望まれる。だが、煩雑な手続き、申請・相談窓口の混雑、制度やシステムの壁が迅速な支援の障害になっているとの声がたびたび聞かれる。ここでは雇用調整助成金が抱える課題について、類似の制度を積極的に活用しているドイツの事例を紹介しつつ考えたい。

10以上の書類が必要、休業終了後2カ月もかかる

雇用調整助成金は、景気悪化などで事業縮小を余儀なくされた事業主が、雇用を維持した場合に支給される。今回のように外出自粛や営業自粛が長期にわたる場合、大幅な売り上げ減少に見舞われたり、手元資金が潤沢でない企業の経営は行き詰まってしまう。どうにか事業継続をしようと、やむなく解雇に踏み切る企業も多い。

雇用される側からしてみれば、不況時もこれまで通りの給与を手にできるに越したことはない。事業主はひとまず、残業を減らしたり、賃上げを凍結したりなどして、人件費を抑制しようとするだろう。それだけでは事業の存続自体が危ぶまれる場合、解雇を極力回避し、せめて休業という形で事業主が対応することを政策的に支援するのがこの制度だ。

休業期間中は労使協定に基づき休業手当が出る。それではとうてい生活できないという人の生活サポートは別途必要だが、少なくとも職を失い、生活が不安定になることは避けられる。事業主の側にとっても、解雇を回避することで労働者の持つ技能が失われず、コロナの嵐が過ぎ去った後、速やかに事業活動を再開することができる。

今回の緊急経済対策では、助成金の対象となる労働者の範囲を拡充し、利用条件を緩和、支給日数の上限や助成率も引き上げた。従来は雇用保険に6カ月以上加入した労働者が対象だったが、6カ月未満の加入者や被保険者でない人も対象に加わった。パートなど非正規労働者は雇用保険に加入していないケースが多く、従来の制度では助成の対象外だった。

制度を利用するには、直近3カ月の売上高が前年同期と比べて10%以上減少する基準を満たす必要がある。今回の緊急経済対策では特例として、直近1カ月の売上高が前年同期から5%以上減少した場合に、条件が緩和された。助成率はこれまで、大企業で休業手当の3分の2、中小企業で5分の4だが、今回の特例ではこれを4分の3と10分の9にそれぞれ引き上げた。

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