「コロナ下の葬式」で遺族が苦労する5つの問題 葬儀社も「依頼を断らざるをえない」緊急事態
とはいえ実際には、当日の火葬は難しいかもしれません。なぜならコロナウイルスの遺体は、都市部の場合、特定の火葬場が特定の火葬時間でしか引き受けていないからです。少し遠方の火葬場へ出向く可能性もあります。
火葬時間は、感染リスクを配慮して、16時過ぎなどの一番遅い時間しか認められていません。立ち会う火葬場のスタッフも防護服を着ています。火葬炉前で立ち会う遺族の人数も数名に制限されます。前述したようにここでも最後の面会はできません。
遺族は、この一連の業務を引き受けてくれる葬儀社を見つけるのにも苦労します。数日前、私の職場にも、ある大きな病院で家族を亡くした遺族の方から「故人がコロナウイルスかもしれないが、葬儀を引き受けてもらえないか」と問い合わせがありました。
葬儀社が抱える複雑な事情
大きな病院は霊安室の業務を委託するため葬儀社と業務契約を行っています。その病院も、契約している葬儀社があったはず。にもかかわらず遺族が外部の会社に問い合わせをしたということは、契約葬儀社がこの依頼を引き受けなかったということでしょう(ちなみに検査の結果、故人は陰性だったそうです)。
葬儀社が依頼を断るのは決して恐怖や自己保身といった単純な理由からではありません。ちゃんとした葬儀社のスタッフは衛生管理や遺体保全に関する教育を受けており、正しい知識に基づいて遺体を「適切に処置する」術を熟知しています。
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