東京の感染急増と医療逼迫で残される自衛の道 「ロックダウン」のデマ情報も拡散したが…

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新宿区によると、区内の繁華街で感染者が増えているという。それも感染者の4分の1が歌舞伎町のキャバクラや風俗店など夜間営業の店の従業員であるとされる。

言わずもがなだが、そうした場所には、むしろ密接したいから客が通う。いわば”水商売クラスター”が起きていてもおかしくはない。店舗側も死活問題にかかわるから営業の自粛もできない。

台東区の永寿総合病院(編集部撮影)

そこに加えて、医療関係者の感染も急増している。台東区の永寿総合病院で院内感染が発生。ここからの転院患者が新宿区の慶応大学病院にも感染を広めて、院内感染が連鎖している。

2日の97人の感染者のうち、21人が永寿総合病院、13人が慶応大学病院の関係者だった。濃厚接触のあった医療関係者も自宅待機などを余儀なくされる。それだけ医療スタッフが減ることになる。

日本医師会では1日、「医療危機的状況宣言」を独自で発表している。医療現場では、新型コロナウイルス対策に労力を割かれながら、これまで通りの医療行為も継続しなければならないから疲弊する。しかも、一部の地域では病床が不足しつつあり、医師をはじめ医療従事者が感染すれば「国民に適切な医療を提供できなくなる」としている。

感染者が急増して、医療現場のキャパシティを超えれば、適切な処置や治療が受けられなくなり、それだけ救える命も救えなくなる。そのことはSARS蔓延の現場取材の経験から繰り返し述べてきた。

日本医師会の宣言表明は、その段階に近づいていることを意味する。自分だけは大丈夫だ、と甘い考えを持っていると、いま感染したところで、自分は適切な医療処置を受けられずに、命を失う可能性がそれだけ高まっていることになる。もはや誰も助けてくれない、ということだ。自分の命は自分で守るしかない。

なぜロックダウンのデマ情報も拡散したのか

こうした状況で注目が集まるのは、改正インフルエンザ等特別措置法に基づく、首相による「緊急事態宣言」だ。日本医師会も、同日の会見で早期の宣言を求めている。

ところが、どうやら緊急事態宣言によって「ロックダウン」(都市封鎖)が実施されると勘違いした国民が多いようだ。SNS上では、4月1日には緊急事態宣言が出される、東京は「首都封鎖」になる、すでに主要テレビ局ではその申し合わせができている――。そんな噂、デマ情報が先月下旬から飛び交っていた。

しかし、都市封鎖を実施できる具体性も法的根拠もない。特措法による緊急事態宣言を行ったところで、国民への外出の自粛要請ができるだけ。いまと変わらない。禁止もできなければ、罰則もない。安倍首相も1日の参院決算委員会で、「さまざまな要請をさせていただくことになるかもしれないが、フランスなどで行っているものとは性格が違う」と述べている。

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