ディズニー前CEOが明かす「古い常識」の破り方

「ブラックパンサー」の快挙とジョブズへの回顧

『ブラックパンサー』のプレミアでドルビーシアターにつめかけた人々と共にこの映画を見たことは、私のキャリアの中でも忘れられない体験のひとつになった。それまで、この映画は自宅で試写をしたり、スタジオで少人数で見ただけだった。この映画に特別な何かがあることはわかっていたが、人々がそれをどう受け止めるかはわからなかった。私はこの映画を世界に披露し、観客の反応をこの目で見て肌で感じる日が待ちきれなかった。プレミアの夜、照明が落ちるずっと前からドルビーシアターの中にはビリビリするような活気がみなぎっていた。これまでに見たこともない何か、歴史的な何かが起きそうな予感があったし、映画の出来はその期待をはるかに超えていた。

プレミアのあと、私がこれまで関わってきたどの仕事よりも多くの電話や手紙を受け取った。スパイク・リー、デンゼル・ワシントン、そしてゲイル・キングも連絡をくれた。オバマ前大統領にも映画を送っていたが、その後、前大統領本人からこの映画がどれほど重要だと信じているかを聞かされた。オプラ・ウィンフリーも手紙をくれて、この映画は「あらゆる意味で社会現象」であり、「小さな黒人の子供がこの映画を見て育つと思うと涙が出てくる」と言ってくれた。

私が作ってきたものの中で、『ブラックパンサー』ほど誇らしく思える作品はない。公開初週のあとで、この映画への誇りをみんなと分かち合いたいと思い、全社員に向けて次のようなレターを送った。

ディズニー社員に送った手紙

親愛なる社員のみなさん
『ブラックパンサー』についての素晴らしいニュースをみなさんと分かち合うにあたって、「ワカンダよ、永遠に!」とつい口にしたくなってしまいます。
マーベルの『ブラックパンサー』は、究極の傑作映画です。映画制作のさまざまな側面で成功を収め、観客の琴線に触れ、心を開き、同時に数百万の人々を楽しませ、最も楽観的な予測さえはるかに上回る興行成績をあげています。世間の常識を覆したこの映画は、公開初週で国内2億4200万ドル、公開4日で見ると映画史上2番目に高い興行収入を記録しています。現時点での世界での興行収入は4億2600万ドルを超えましたが、まだ多くの主要市場でこれから公開が予定されています。
また、『ブラックパンサー』はまたたく間に社会現象になり、議論を巻き起こし、内省を生み出し、老若男女に勇気を与え、古臭い業界の常識を打ち破りました。
次ページスティーブ・ジョブズの知られざる一面
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ブックス・レビュー
  • おとなたちには、わからない
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 日本資本主義の父 渋沢栄一とは何者か
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT