カジノ投資うたい、166億円集めた「会社」の正体 テレアポで高齢者誘い、暗号資産投資を勧誘

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2つ目の謎はGPJの運営実態だ。監視委によると、GPJの国内3拠点における営業員数は69人。GPJのものと思われる過去の求人情報は「平均月収100万円以上」をうたって従業員を募集していた。

求人募集には基本となる月収30万円に加えて、契約金額の3.0~9.6%を支給する契約歩合給や「トップ賞」などの制度が記載されている。なかには経験1年の営業員(36歳)が2018年に年収1528万円を得た例も紹介されている。

「ガナパティ」の正体とは

また、社員権だけでも毎年の配当は単純計算で約6.8億円にもなる。決算を公告することが求められる株式会社とは異なり、合同会社には決算情報を開示する義務が課されていないため、同社の収益構造はやぶの中だ。

GPJが入居する都内のビル(記者撮影)

3つ目にして最大の謎は、監視委が「実態不明」としたガナパティがどのような企業なのかという点だ。

イギリスの公的企業登録機関によると、同社は2013年12月に設立された。2015年には上場も果たしているが、上場直後には10億円超の赤字で、その後も赤字幅が広がり続けている。2019年1月期の赤字幅は特に大きく、3350万ポンド(約45億円)にのぼった。

ガナパティの現在の筆頭株主は75%以上を保有する日本の一般社団法人。2020年2月にイギリス領バージン諸島の企業から株式を譲り受けたとみられる。

この社団法人は1人の日本人が唯一の理事として登記されている。つまりガナパティは、実質的に日本人がオーナーだといえる。

GPJやガナパティがウェブサイトや求人情報で積極的に広報している「イギリスのNEX市場上場」も、実質性が問われる状態だ。

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