実は高年収?YouTuberを支えるプロの裏方たち 構成作家やプロデューサーが後ろにいる現実

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ママYouTuberなーちゃんが投稿した動画は総再生回数13億回を突破。長男・こうちゃんが干潟で遊ぶ動画は再生回数3億回を超える大ヒットとなった(動画:なーちゃんねる

今年に入り、多くの芸能人がYouTubeに参入しているが、足並みをそろえるように裏方の仕事も急増している。ある若手IT社長は2019年から動画編集の受託も手掛けるようになった。「動画撮影・編集は1本1万~3万円が相場で、スタッフ2~3人がつきっきりで、撮影はほぼ毎日。慣れた人でも20分動画の編集に5時間以上かかる」と説明する。

決して実入りはよくない仕事だが、最近になって、元アイドルグループのメンバーが動画編集の仕事をしていることを知り、驚いた。「ビジネスのスキルがないので、芸能関係のつながりを利用し、YouTubeのノウハウを学んでいた」(前出のIT社長)。自らのYouTuberデビューを意識しているのかもしれないが、いずれにしても、動画撮影・編集のスタッフは引く手あまたの状態だ。テレビ業界から移ってくるスタッフも多いという。

YouTubeでも一発屋はすぐに消える

YouTubeプロダクションなどを展開するビットスターの渡邉拓社長は、「所属YouTuberに対しては、企画や編集、データ分析を、標準サポートとして組み入れている」と語る。芸能人のYouTube参入で競争環境は厳しいが、「バズるコンテンツを目指すよりも、地道に毎日動画をあげてPDCA(計画→実行→評価→改善)サイクルを回しながら、改善することが大事」と指摘する。アイデア1つの”一発屋”では、すぐに淘汰されてしまうわけだ。

最近は大食いYouTuberのはらぺこツインズをはじめ、所属YouTuberのテレビ出演が増えているが、「テレビ局側からのオファーも増えている」(渡邉社長)。テレビ出演後は、YouTubeチャンネルの再生回数も増えるため、シナジーは高いという。今後を見据えて芸能プロダクションのように、キャスティング営業の組織化を進めている。

逆に、今年に入り、YouTuberのテレビ出演が増えるなど、テレビとネットの境界線は一段と薄れてきている。まさに動画メディアは、映画からテレビ、そしてネットへと、移り変わる過渡期にある。成熟化へと向かい始めたYouTubeが、映画やテレビと肩を並べるような一大産業となる日は、そう遠くないのかもしれない。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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