実は高年収?YouTuberを支えるプロの裏方たち

構成作家やプロデューサーが後ろにいる現実

こす.くまの2人は19歳のころに出会い、テレビの構成作家としていっしょに仕事を始めるが、長く続かなかった。「YouTuberを扱うテレビ番組で起用されたが、当時19歳だった僕たちの若い脳が生かされることはなかった。何が面白いかは、大人のディレクターが決めて、それを演出とプロデューサーが決める。テレビは大人が決めるメディアだから、仕事をする意味がないと思った」とすのはらは振り返る。

そんな2人も、現在は40チャンネル以上を担当し、データ分析や撮影先のアポイント、道具の手配も行う。スタッフ約15人を抱え、撮影前になるとフル稼働で準備に追われるのは、テレビ業界と変わらない。視聴回数が伸びやすい繁忙期の夏休みシーズンになると、期間限定で作家を入れるYouTuberも増えてくる。気になる年収は「売れっ子のテレビの構成作家と同等か、それ以上」(たけちまるぽこ)。

ただし、テレビの放送作家が安易な気持ちでYouTubeに参入しても、成功する確率は高くない。「『黄金伝説』や『大食い』など、テレビ番組の流行がYouTubeに遅れて入ってくることが多いが、それをネットに最適化する必要がある」とたけちまるぽこは言い切る。テレビ番組のノウハウ以外に、動画の視聴回数や離脱率などデータ分析に精通する必要もある。

今後は将来の夢にYouTube作家を挙げる子供が出てきそうだが、「必要なことはどれだけYouTubeを好きなのか。加えてYouTubeのアルゴリズムも相当分析したうえで企画を考えていること」(すのはら)。作家としての文系力、データを分析する理系力の両方が求められる。YouTubeのトレンドはめまぐるしく変わるため、つねに視聴データを分析しながら企画に反映させることが、プロならではの仕事なのだ。

今や子ども向けコンテンツは激戦区!

実際にトレンドについて行くのは至難の業だ。子ども向けチャンネルを運営するママYouTuberのなーちゃんは、5年前から動画をアップし続けている。最初は子どもがお菓子を食べたり、ジュースを飲んだり、他愛のない内容だった。しかし、2年目から子ども向けチャンネルが激増し、凝った作りの動画が主流となると、風向きが変わった。

多くの子ども向けチャンネルが淘汰されていく中、なーちゃんは試行錯誤で研究を重ねたことが転機となった。動画の総再生回数は13億回を突破し、ファミリー系YouTuberとしての地位を手に入れたのである。だが、2019年に入って、再び転機が訪れる。YouTubeがアルゴリズムを変更し、子ども向けコンテンツへの規制を強めた結果、「再生回数が伸びなくなり、子ども向けは苦難の時代になってしまった」(なーちゃん)。

現在も動画投稿は続けつつ、YouTube専門家として、プロデューサーの活動も開始している。「YouTubeという戦場で生き残ったYouTuberじゃないと、具体的なアドバイスやメンタルのサポートは難しい」(なーちゃん)。自らのキャリアを生かし、数十チャンネル以上の運営をサポートする裏方のプロとして、活躍の場を広げている。

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