「妻が夫の子育てにイラつく」のが至極当然の訳 女と男は生物的にどうしても得手不得手がある
今、地域コミュニティーを活性化しなくてはといろいろなプロジェクトが動き出しましたけれど、まだ、子どもを簡単に預けられるご家庭はほとんどないですよね。お母さんは、自分が体調を崩しても耐えてひとりで子どもをみるしかない。その矛先が、父親に向かっているのです」
菊水氏は、夫に不満な母親たちの姿をそう読み解き、育児そのものの危機を感じていた。
「では、大家族に戻ればいいのかというと、それも、生物学的に見て心配があります。生物には、自分が育てられたように子どもを育てるという『世代間連鎖』という現象があるからです。子育てには大家族がいいのですが、核家族で育った子どもは大家族の中で生きていく術を学んでいません。最近は、夫婦2人の暮らしも煩わしいという人が増えています。こうして、ヒトは、どんどん孤立の方向に向かっています」
そんな中で、現代においても母親が助けられながら子育てをするにはどうしたらいいのか。「保育園の保育士さんやベビーシッター、出産施設の助産師さんなどがもっと身近な存在になれば、共同養育に近い形かもしれません。
また、インターネットを利用し、親族がたくさんいる地元から引っ越さずに、リモートワークで東京の会社で働ける人も、もっといるはずなんです。働き方改革もそのあたりを真剣に知り組むべきで、こうしたことをおざなりにしたまま父親にだけ『やれ、やれ』と言ってもできないということです」。
父親も子どもと関わることでホルモンに変化
もちろん、父親は、母親のいちばんそばにいる存在だから活躍してほしい。
近年、ヒトの男性についての研究は増えてきており、それによると、子どもと関わる行為により、ヒトの父親もテストステロンが少しずつ減り、オキシトシン、プロラクチンといったホルモンが増えることが知られるようになった。
「スキンシップや見つめ合いは母親にも赤ちゃんにもオキシトシンを分泌させますが、これは父親と赤ちゃんでも同様なことが起きるんですよ」
ただ、女性はといえば、出産前からオキシトシンがどんどん増えていて、オキシトシンが陣痛を起こし、産後は子どもに母乳をあげるたびにオキシトシンが大量に出る。女性ホルモンはオキシトシンの効きをよくしたり、産生を促進したりもする。
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