楽天が「送料無料化」めぐり混迷を極めた背景

ユニオンと友の会が対立、公取の判断は…

まず、公取側に意見を申し入れた反対派の楽天ユニオンが3月10日に開いた会見の内容を見てみよう。ユニオンによると、楽天はこれまでも違反点数制度などをはじめ規約変更を多く実施してきており、出店者に対する姿勢に問題がある。

さらに、今回の送料一律無料化の延期も楽天側に申請しない限り無料化が実施されるシステムのため、基本的な強行姿勢に変化はなく、5月に打ち出される方針で改めて一律実施を要求してくると警戒しているという。会見ではユニオン代表の勝又勇輝氏が楽天側から商品画像についての嫌がらせを受けたことも明らかにした。

冒頭の雑貨店を経営する男性はユニオンに加盟している。

「売上高の7割を楽天市場に依存していて今さら抜けるに抜けられない。システム利用料などの名目で楽天は何をするにも金がかかるんですよ。これはアマゾンなど、ほかのプラットフォーマーよりもひどい」と悲痛な叫びをあげる。

賛成派「経営努力で何とかなる」

続いて、賛成派の「楽天市場出店者 友の会」は名前からして楽天寄りの団体だ。

3月5日の会見によると、今回の騒動で楽天市場全体のイメージが悪化しているので、それを防ぐために結成したといい、楽天ユニオンがすべての店舗を代表するものではないこともアピールしたかったのだという。友の会の加盟社は楽天市場での受賞歴があるなど優良店舗が中心で、不満を持っているとは考えづらい。実際、今回の送料無料化にしても経営努力で何とかできる余裕があるのだろう。

友の会は2月末にメンバーで三木谷浩史社長とのテレビ会議を持ったといい、関係の近さがうかがえる。彼らが、新型コロナウイルスの感染拡大による人手不足を理由に一律無料化の延期を訴え、楽天が従ったというタイミングと相まって「公取に緊急停止命令を取り下げさせるための口実として“シンパ”を利用した」と言われてしまうのも無理はない。

このように賛成派、反対派をめぐって真っ向から意見が対立した送料一律無料化問題だが、筆者は今後の公取の出方に注目したい。

そもそも、楽天の送料一律無料化はアマゾンとの対抗策として打ち出されたものだった。楽天は2019年1~12月期連結決算の売上高が1兆2639億円。そのうち楽天市場などのインターネットサービスセグメントは約6割を占める。

対するアマゾン日本法人は1兆7440億円(2019年の平均為替レート1ドル=109円で換算)とすでに大きな差が開いている。アマゾンの世界全体での売上高は30兆5745億円で、ここからすれば日本事業はたったの6%程度にすぎないにもかかわらずだ。

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