ベルガード「倒産8年」社員5人で甦った古豪の技 原動力はMLB選手と国内企業とのコラボ

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新型コロナウイルス拡大の影響は、欧米のスポーツ界にも広がった。本稿執筆時には、2020年の一大イベントだった、サッカーの欧州選手権と南米選手権が延期となった。

MLBの開幕も、さらに後ろにずれ込むともいわれる。人気選手のプレーが見られないと、野球用品への注目度が下がるのは避けられない。

コロナ影響以前にも、同社にはカントリーリスクがあった。

埼玉県越谷市にあるベルガードの本社外観(画像提供:ベルガードファクトリージャパン)

もともとベルガードは、韓国市場に強かった。これも人脈からの事業展開で、韓国プロ野球選手が同社の防具を愛用し、韓国代表チームにも納品してきた。プロ選手が使うのを見て、一般消費者が愛用し始めたのは、前述と同じ流れだ。

だが、日韓関係の悪化により「韓国市場は7割減」となった。幸い、総売り上げに占める韓国市場は小さかったが、何が自分たちに降りかかるか、読みにくい時代だ。

「待っていても仕事は来ない」

実は永井氏は、国内中小メーカーと連携を進めてきた。もともと野球の競技人口減少もあり、大手メーカーとの取引中止となった小さな会社もある。だが、モノづくりの技術には定評がある。例えば、野球用スパイクの開発に向けてこんな活動も始めた。

「奈良県に本社がある『JCJAGUAR』(ジェイシージャガー)という自社ブランドを展開するジャガーズ創工さんとの連携を考えています。長年スパイク製造をしてきた先方の強みと、当社の強みを見据えた商品も開発しました」(同)

ジャガーズ創工と共同開発したスパイク(画像提供:ベルガードファクトリージャパン)

新型コロナウイルスが、いつ収束するのか。現時点では予測できない。どの会社も「中長期になると、業績にどう影響するか」と不安視している。

だが、志を持つ小企業や個人事業主には「待っていても仕事は来ない」という哲学がある。

コロナ感染拡大防止に向けた対応をとりつつ、「今できることは何か」「本当の顧客は誰か」を考え、行動に移すしかない。将来の収穫に向けて種をまく時期ともいえよう。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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