この春、つながり重視のCMが高評価だった理由 ワイモバ、JCB、任天堂CMに多くの共感集まる
通信サービス以外では、日本マクドナルド「ごはんバーガー」やジェーシービー「JCBカード」も人間関係の温かさを感じさせるCMで支持された。
ごはんバーガーのCMは、ナイツの塙宣之扮する会社員が訪れた夜のマクドナルドの店内が舞台。塙が窓際の席でひとり食事をするかつての妻(真飛聖)を見かけ、元気そうな姿に安堵する様子を描いた。BGMは松田聖子の『SWEET MEMORIES』で、大人の哀愁や物語の奥行きを感じさせる。“離婚した元夫婦”というCMには珍しい設定や楽曲の懐かしさからか、30代以上から関心を集めた。
JCBカードは、2010年からCMキャラクターに二宮和也を起用している。
同サービスを前向きな人生を送るための相棒として描く「君と生きてゆく。」シリーズ第3弾にあたる今作は、二宮が社会人として新たな門出を迎える弟(目黒蓮)とともに高級レストランを訪れる設定だ。
いちばん高いステーキをオーダーしようとする弟に動揺を隠せず、「ダメなの?」と弟や周囲の客から詰め寄られる二宮だが、「ダメじゃないよ。JCBで」と余裕の表情でJCBカードを取り出し兄の面目を保つという内容。モニターからは「最後に二宮和也が『ダメじゃないよ』と言うところに兄弟愛を感じる」「微笑ましい」といった感想が寄せられ、ふたりの心和むやりとりが好感された。
プロモーション動画の心温まる内容にも関心集まる
また、テレビCMが23位に入った任天堂「あつまれ どうぶつの森」は、2月末に公式サイトやTwitterアカウントなどで動画を公開した。
ゲーム画面を中心に映すテレビCMとは異なり、趣味や性格の異なる4人の女子高校生の日常や友情を描くというもの。それぞれが部活や受験勉強、家業の手伝いなどで忙しく過ごしながらも同ソフトのゲーム上で集まり、他愛ない会話を重ねて心を通わせるストーリーだ。
公開から約2週間で再生回数は150万回を突破。同タイトルへの注目度の高さに加え、プロモーション動画の心温まる内容も関心を集めているようだ。
このように出会いや別れの季節である春には、家族や仲間とのつながりや何気ない日常の大切さを描く名作CMが多数見受けられる。新型コロナウイルスの影響で花見や卒業式の自粛が相次いでいるだけに、CMを通して人とのつながりや当たり前の日常の大切さをあらためて認識した人も少なくないだろう。
一度に多くの人にメッセージを発信するテレビCMは商品をアピールすると同時に、人生の節目や社会状況によって揺れ動く視聴者を勇気づけ、ときには社会の空気を変えることもできる。友情や家族愛といった普遍的な価値を魅力的に描くCMが増えれば、不透明な世の中の空気を少しだけ優しくできるのではないだろうか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら