キリン幹部が語った「物言う株主」への猛反論 横田CFO「ビールだけでは生き残れない」

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――KV2027の発表後、化粧品大手のファンケルから株式保有の打診があり、2019年9月に持ち分法適用会社化しました。市場関係者の間では、このファンケルへの出資効果が見えづらい、という指摘が多くあります。

ファンケルの創業者である池森賢二・前会長から、「ぜひ株を持ってくれ」と話があった。池森さんとご親族が保有するファンケルの株式(33%)を「きちんとした経営能力がある企業に渡したい」という話だった。「創業者に代わって、安心して経営をゆだねることができる会社」という意味で声がかかったのは、大変ありがたい。

33%の株を持つ企業によって、経営方針や戦略は大きく変わる。外資企業と組んだら企業カルチャーがゴロっと変わることもある。ネスレ日本などいろんな会社からアプローチがあったようだが、池森さんは創業者の勘で「後を託すのは、この会社(キリンHD)しかない」と思われたのだろう。

「科学的根拠に基づいて、確かなものをお客様にお届けする」という企業カルチャーは当社と非常に近い。ブランドを大切にして、「お客様に価値あるものを届けたい」といった経営の根底にある精神も、強い親和性がある。成果をしっかりと示していきたい。

創業者の代わりの会社という立場

――33%の持分比率は中途半端な印象も受けます。連結子会社化をしないままでシナジー効果を出せますか。

資本の論理だけで考えれば「(キリンの株式保有比率は)マイノリティだし、経営コントロールが効かない」と言われるかもしれない。ただ、持分比率は33%であっても、われわれが「創業者の代わりの立場」ということをファンケル側も意識している。

2019年8月、資本業務提携契約を発表する記者会見で、握手を交わすキリンホールディングスの磯崎功典社長(右)とファンケルの池森賢二会長(中央)、島田和幸社長(左)(撮影:尾形文繁)

キリンHD社長の磯崎とファンケルの島田和幸社長は定期的に面談を行っており、積極的にコミュニケーションを取っている。単に金を入れたというのではなく、創業者の代わりの会社という立場で、非常に重みのある出資だ。

キリン側で実現できるシナジーは2024年に55億~70億円の事業利益として、細かくすべて積算できている。最低限のシナジーとして数字を公表したが、連携が進めば顧客に役立つ魅力的な商品などももっと出せる。

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