まだ間に合う!会社員が確定申告で「得」する策 何が控除されるか知ることが節税対策の一歩

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例えば、医療費控除です。医療費控除は、治療費や入院費用、薬代などの医療費を家族で年間10万円以上支払っていれば、10万円を超えた分(その年の総所得金額が200万円未満の人は、医療費の実費から総所得金額の5%を引いた金額)が控除されるものです。この控除は、年末調整では申告することができず、確定申告する必要があります。

家族が購入したOTC医薬品(ドラッグストアで購入できる指定された医薬品)の合計額が1万2000円以上の場合に、1万2000円を超えた分が控除されるセルフメディケーション税制も同様です。ちなみに、医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらかしか利用できません。

また最近では、「特定支出控除」といって、業務で使用するスーツの購入費用や業務に活かすための資格取得費、業務に関係する書籍の購入費などがサラリーマンの必要経費として認められています。一定の基準を超えてそれらを自腹で負担した場合、確定申告すれば税金が戻ってくる仕組みです。

特定支出控除は、6種類あります。「通勤費」「転居費」「研修費」「資格取得費」、単身赴任者の「帰宅旅費」、そしてスーツなどの衣類や本、接待などの交際費を含む「勤務必要経費」です。仕事に関係する「通勤費」や「転居費」などは会社から支給されることが多いでしょうが、その場合は控除対象とはなりません。

また、控除されるのは、その年の給与所得控除額の2分の1を超えた分です。これから資格を取ってスキルアップしたいと考えていて、その費用が高額な人は活用するといいでしょう。

確定申告は意外と簡単にできる

確定申告を簡単に済ませるには、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが便利です。控除項目を入力して申告書を作成すると還付される金額が自動計算されるので、還付金額の確認にも使えます。申告書の作成は意外と簡単なので、一度試してみてもいいでしょう。

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確定申告書の作成を始める前には、会社から受け取った源泉徴収票と控除を受けたいものの金額がわかる書類を用意しておきましょう。

医療費控除を受ける場合は、あらかじめ医療機関でもらったレシートなどを取っておきます。税務署に提出する必要はありませんが、合計額を計算するために必要です。医療費には治療費や薬代、入院費用のほか、タクシーで通院したときの交通費なども含まれるので、忘れないようにしてください。

サラリーマンの追加経費である特定支出控除を受ける場合は、会社に証明書を発行してもらう必要があります。国税庁のウェブサイトから証明書をダウンロードして必要事項を記入し、会社に署名と捺印をもらって、確定申告のときに提出することになります。医療費控除や特定支出控除をはじめ、何が控除されるのかを知り、うまく節税して税金と賢く付き合っていきましょう。

西村 隆男 横浜国立大学名誉教授、経済学博士

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にしむら たかお / Takao Nishimura

財団法人消費者教育支援センター主任研究員、横浜国立大学助教授、アイオワ州立大学客員研究員などを経て、2000年より横浜国立大学教育人間科学部教授、東京学芸大学連合大学院博士課程教授(兼務)。2017年定年退官、現在は横浜国立大学名誉教授。専門は金融教育、パーソナルファイナンス、消費者教育。消費者教育推進会議会長、日本消費者教育学会会長などを歴任。現在、文科省消費者教育推進委員会委員長、金融経済教育推進会議委員、金融広報中央委員会委員などを務める。著書に『社会人なら知っておきたい金融リテラシー』、『子どもとマスターする46のお金の知識』、『子どものおこづかい練習帳』などがある。

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