新型コロナで露呈したアマゾンならではの弱点 強みだったことが弱みに変わりかねない

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それでも、ウェルズ・ファーゴ銀行が2月中旬に発表したレポートによると、中国企業が今後数週間、不安定な状態にあれば、4月半ば頃にはスポンジやインクカートリッジといった日用品が、アメリカの主な店舗で不足するようになるかもしれないという。アメリカの消費財の輸入相手国の中で、中国は第2位だ。「いまこそ、サプライチェーンのリスクについて心配し始めるべきだ」と、同レポートは述べた。

アマゾンは同業者に比べて商品の在庫数を少ない水準に保っているため、より品不足になりやすいと言える。通常であれば、この戦略を取ることで商品の仕入れと在庫に縛られる資金が抑えられるので、効率のよい事業運営ができる。

しかし、反対にショックには弱くなる。「ジャスト・イン・タイムのサプライチェーンを採用して効率化を推進した場合、こうした(品不足に陥る)コストを払わなければならない」と、元アマゾン社員のグル・ハリハランは言う。ハリハランはコマースIQというスタートアップ企業を創業し、同社はeコマース関連業務を自動化するツールを提供している。

見えにくい問題もある。アメリカ国内で製造されている商品でも、中国のサプライヤーに依存している場合があるからだ。例えば、カリフォルニア州の工場で作られているケチャップが、中国製のトマトペーストや、ボトルやキャップを使っているかもしれない。

把握しずらい中国製商品の供給状況

アマゾンが在庫を維持するうえでは、もう1つ問題がある。従来型の小売業者が自社の在庫を直接管理しているのに対し、アマゾンの商品の多くがサードパーティ・セラーによって売買されているという点だ。アマゾンは単に彼らの取引を手助けしているにすぎず、そのため商品の供給状況が見えにくくなる。

アマゾンの広報担当者は、「さらに在庫を確保して、品揃えを維持できるよう、サプライヤーとともに取り組んでいる」と話し、こうつけ加えた。「新型コロナウイルスに関する展開を注視しており、必要に応じて適切な手段を講じている」。

ハリハランがアマゾンに商品を供給している大手ブランドに聞いたところでは、中国製商品の顧客への発送までの日数が、アマゾンのサイト上で、通常2〜3週間のところ、6〜8週間に変更されているという。

また、アマゾンからのメールやコンサルタントらによると、同社は通常の自動発注とは別に、より頻繁に、またより多くの発注を行っているという。

あるベンダーに送られたメールには、次のように書かれていた。「アマゾンは昨晩、御社に対して通常の発注サイクル外での発注を行いました。これは、中国に端を発する世界的な状況によって起こりうる、サプライチェーンの問題に備えるためです」。ほかにも同様のメールが送られていることが、ニュースサイト「ビジネス・インサイダー」で報じられている。

以前アマゾンで在庫管理を担当し、現在はアマゾンで販売を行う企業にアドバイスを提供しているファヒム・ナイムによると、彼のクライアントもアマゾンから追加発注を受けたという。

そのクライアントは、アマゾンで年間1000万ドル以上を売り上げ、商品の調達先に「中国」と表示している企業だ。アマゾンが同社に送ったメールには、商品がアマゾンの倉庫に届くまでに余分の日数がかかったとしても、ペナルティは課さないとあった。

アマゾンのサプライヤー向けのウェブサイトには、2月7日にメッセージが掲載され、そこにはアマゾンへの納品が期日に間に合わなかった場合でも、自動的な催促が来ないようにするための方法が書かれていた。

(執筆:Karen Weise記者、Michael Corkery記者、翻訳:東方雅美)
© 2020 The New York Times Company

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