鼻の長さは何m?山形新幹線に新型「E8系」導入 最高時速300km、福島駅のアプローチ線も改良
E8系の配色はE3系「つばさ」を踏襲しているが、先頭車両の形状はE6系に近い。
JR東日本は「より進化した印象のアローライン形状」と説明する。アローラインとは、同社が2005年に開発した新幹線試験車両「FASTECH(ファステック)360」のノーズの形状で、空気抵抗を減らすためのものだ。アローラインはE5系やE6系に受け継がれた。E8系もこの系譜につらなるというわけだ。
ノーズの長さは9mで、E3系の6mよりも長い。ただ、E6系の13mよりも短い。そのせいか、E8系の営業最高速度はE6系の時速320kmよりもやや遅い時速300kmにとどまっている。
それでもE3系の営業最高時速275kmよりも速く、所要時間の短縮が図れそうだ。なお、在来線区間の最高時速は130kmで、E3系やE6系と変わらない。
車内は全席に電源コンセントが設置され、大型スーツケースが搭載できる荷物スペースが各号車に設置されるなど、E3系よりもサービス設備が向上する。車いすスペースも普通車に2席、グリーン車に1席設置される。
山形新幹線の「課題」解決策になる?
東海道新幹線は最高時速が270kmの700系が3月で引退し、最高時速が285kmのN700Aタイプで統一された。これによってすべての列車の最高速度が統一され、ダイヤを組みやすくなったという。
アルファエックスは2月12日には北海道に乗り入れ、将来の北海道新幹線札幌延伸を見据えた厳寒時における走行テストに着手した。東北新幹線区間では最高時速360kmでの営業運転を目指し、試験走行を重ねている。E8系が時速300kmで走行できれば、車両タイプによる速度のばらつきが減り、将来、アルファエックスをベースに新たな営業車両が開発される際に、ダイヤを組みやすくなるというわけだ。
この日、E8系の投入決定と合わせ、もう1つ大きなニュースがあった。福島駅で在来線と新幹線を結ぶアプローチ線を1本から2本に増やす。現在のアプローチ線は単線で上下線を共用しているが、完成後は上り線、下り線のそれぞれにアプローチ線ができるため、新幹線が福島駅の上下で同時発着することが可能になる。アプローチ線が2本になることで、輸送障害時のダイヤ復旧時間の短縮が期待できそうだ。ただ、完成は2026年度末で、新型車両投入のさらに先になる。
山形新幹線は冬季に強風や吹雪でしばしばダイヤが乱れ、地元では在来線ではないフル規格の「奥羽越新幹線」導入を待望する声もある。そうした中で、JR東日本が選んだのは新型新幹線の投入や福島駅のアプローチ線増設という、現行の山形新幹線に磨きをかける戦略だった。はたして、フル規格新幹線は不要と言い切るだけの利便性を完成後に発揮できるか。
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