運転士コロナ感染なら通勤電車「半減」の危機も 欠勤率1割なら平日ダイヤは維持できない

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縮小

仮にこのような運転を行った場合は社会混乱は必至、経済活動にも大きな影響を与えることになるだろう。テレワークができる一部の事務職については在宅勤務の対応になるだろうが、サービス業・医療機関など現地出勤する必要がある職種にとっては、社会インフラである鉄道運行の縮小は大きな影響を及ぼす。

また、一気に大きな削減をするのではなく、段階的な削減をして、平日に比べて乗務員数が少なくて済み、例えば既に定期ダイヤとして存在する「土休日ダイヤ」を第1弾として、その後に欠勤職員数に応じて順序立てて減便していくという段取りも予想される。

海外鉄道の対応は?

コロナウイルスにより2月21日に最初の感染死亡者を出してしまったイタリアでは、感染確認がされた翌日の22日には、関連都市の3つの駅において列車を停止させないという早期かつ大胆な判断に踏み切った。さらに隣国のオーストリアとイタリアを結ぶ列車の運行も停止された。

海外の事情と日本との状況は違うにせよ、公共交通を運休させるという判断をすぐに行ったあたりは、日本との対応の違いが出た。日本国内では考えにくいが、このような突飛ともとれる封鎖行動こそが特効薬になる場合もあるだろう。ほかにも、香港は1月30日に中国本土から高速鉄道が乗り入れる西九龍駅を閉鎖するなど、鉄道の運休や駅閉鎖は世界的に行われているのだ。

車掌や駅員をはじめとした接客対応も戦々恐々とした状況だ。ある鉄道従業員に話を聞くと「不特定多数の人と接するので、対策をとっていてもいつ罹患(りかん)してもおかしくない。急病人の方が発生したときなどはとくに怖い」と話す。平常ダイヤから減便ダイヤへの移行も、あながち戯論ではなく、現実的に検討しなければならない段階となってきた。

西上 いつき 鉄道アナリスト・IY Railroad Consulting代表

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にしうえ いつき / Itsuki Nishiue

大阪府出身。関西大学商学部卒業後、名古屋鉄道株式会社に入社。運転士・指令員などを経験したのち退社。その後、外資系企業を経てIY Railroad Consultingを設立。著書に『鉄道運転進化論』(交通新聞社新書)、『電車を運転する技術』(SBクリエイティブ)。東京交通短期大学非常勤講師。二次交通「RYDE」エバンジェリスト。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。鉄道系YouTuberとして「鉄道ゼミ」を運営。地域おこし協力隊(銚子電鉄)。まちづくり戦略研究学会監事。

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