青函連絡船「摩周丸」、なぜ17年ぶりに動いた? 産業遺産として再評価、歴史・文化を後世に

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動くことがない摩周丸だが、廃止後1度だけ2003年に函館湾を横切り、函館ドック入りしたことがあり、自力ではないが海上を航行した。第三セクターの運営から函館市が買い上げ、船体塗装と展示室の改装が行われたときのことだった。そして、2020年2月5日、17年ぶりのドック入りが果たされ、再び函館湾を航行した。

船内にはさまざまな展示も行われている(撮影:伊藤丈志) 函館市青函連絡船記念館摩周丸:入館料一般500円・高校生以下250円。開館時間8時30分~18時(11~3月は9~17時)、入館は閉館1時間前まで

「昨年(2019年4月)、摩周丸の横の桟橋が供用開始となり、外国のクルーズ船が入港しました。今後は客船の入港が増えるのできれいにしましょうとなったのが、ドック入りのきっかけの1つになります」

特定非営利活動法人「語りつぐ青函連絡船の会」事務局長の高橋摂さんが語る。同会は2008年に摩周丸の管理・運営を行う指定管理者となり、摩周丸を産業遺産として再評価し、青函連絡船の歴史・文化を後世に伝える活動を行っている。

17年ぶりに函館湾を航行

予算的なことや港湾計画などいろいろな事案がある中、クルーズ船が真横に入港するというのは大きなきっかけになったようだ。

今回のドック入りは外板部(主に船楼甲板から下)のお色直しがメインとなっている。2月は1年を通じて比較的来館者が少ない時期なので、約1カ月間休館にしてドック入りの行程を組んだと続ける。経済的な余裕があれば10年に1度くらいは全体的なメンテナンスをしたいが、と前置きしながら今回のドック入り作業とは別に、会の基金を活用して前部マストのさび落としと塗装、非常用タラップを吊るクレーン部分の修繕を行うという。

『鉄道ジャーナル』2020年4月号(2月21日発売)。特集は「北海道の未来図」(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ドック入りでの当日、2月5日の天候は曇り。風速はほぼ無風だったので実施のゴーサイン(風速8m以上だと延期)が出た。

8時40分頃からタグボート3隻により摩周丸の引き出しが始まり、20分ほどかけて引き出された摩周丸は進路を定めた後、9時頃からそのままタグボートによる曳航が開始された。およそ30分かけて17年ぶりに函館湾を航行し、9時30分頃にはドック前に到着し、無事入渠した。その後、ドックで水抜きなどが行われ、本格的な作業にかかることになった。

ドックでの作業は2月末を終了予定としており、若松埠頭に再び戻ったあと摩周丸は3月6日からのオープンを予定している。なお、2020年のクルーズ客船の若松埠頭への入港予定は今のところ9回となっている。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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