「気立てが良くて優しくて、とても感じのいい先生でした。古風でふんわりとした雰囲気で、相手を立ててくれるような人で……」。山下さんの口調も滑らかになる。
週に一度、1回30分の個人レッスン。仕事と家の往復だけだった生活に潤いが生まれ、英会話はメキメキ上達した。
「女性は結婚したら豹変する」と思った経緯
しかし、沙也加先生には当時からお付き合いしている男性がいて、山下さんもそのことは知っていた。
はじめに微妙な空気が流れたのは、先生が結婚して山下さんが手紙を渡したときだという。
「“結婚おめでとうございます。末永くお幸せに”と手紙を書いて渡したんです。でも、翌週のレッスンで、先生から手紙について何も触れてこないんです。普通、手紙をもらったらお礼を言うのが当然ですよね。なので、“手紙があまり気に入らないようでしたら、返却されますか?”と尋ねてみたら、“では、お言葉に甘えて”と言って手紙を戻されちゃって」
普通はそういうものなのか? そして、1度出した手紙を返却されるというのはどうしたことでしょうか?
山下さんによくよく話を聞くと、手紙には、「人に優しく自分に厳しい、そんなところが好きです。あなたのことは人柄も高く評価しています」といった内容のことを書いたと言い、読む人が読めばラブレターにもみえたことは否めないとひっそり語る。山下さんにとって、沙也加先生は女性としても魅力的に映っていたのだろう。
さらに、結婚を境に先生の態度が急変したと嘆く。「結婚前は先生が急な体調不良でレッスンをキャンセルすることがあっても、翌週のレッスンできちんとお詫びの言葉を述べていたが、結婚を境にそんな言葉もなくなっていたことも気になっていました」。
その後も通常どおりレッスンは続く。しかし、通い始めて3年目、ある月末のレッスンで先生から告げられた話が、山下さんの怒りを買った。
「“プライベートが忙しくなったので、山下さんのレッスンは来月末で終わらせていただきます。ほかの方のレッスンも徐々に減らしていく予定です”と突然切り出されたんです。結婚当初は、苗字も変わらないし、レッスンにもなんら影響はありませんと、はっきり私に言っていたんですよ。それでも予定が変わることはあるでしょうが、(私に)相談くらいするのが常識でしょう!」と語気を強める。
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