生理前の不調に悩まされる「妊活女性」の現状 PMS・PMDDの治療と妊活は両立できるのか?

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「セロトニン再取り込み阻害薬は、医師からは障害のある子どもが生まれるリスクは少ないと言われましたが、妊娠中に薬を飲むこと自体がよくないと思ったし、少しでもリスクのある薬は使いたくなかったので拒否しました。漢方は正直あまり効果を感じていません。しかし、『飲み続けることに意味がある』とのことなので、まだ期待しています。食事療法が自分には一番いいと思っていて、カフェイン、飲酒、喫煙を控え、野菜を多く摂ることを心がけています」

医師からは、「妊娠を希望しているなら、PMDDの症状がひどく出ても我慢しなければいない。旦那様にも協力してもらって、なるべく無理のない生活を心がけるように」と言われている。

「自分がPMDDだとわかる前は、私がすぐキレるし細かいので、夫とは毎日のようにけんかをしていました。でもPMDDだとわかってからは、夫が協力的になり、家事を率先してやってくれるのでけんかが減りました」
また、夫に「楽することは『悪』だという考え方がいけない」と言われてから、なるべく楽をするように心がけている。初めは手を抜くようで罪悪感が強かったが、だんだん感じないようになった。

とはいえ、完全になくなったわけではない。今でも時々、夫とけんかをすることがあり、ひどいときはパニックに陥り、自分の髪の毛をむしったり、壁に頭をぶつけたり、包丁で自分を傷つけようとしたり、硬いものを殴って手を傷つけたりといった自傷行為に走ってしまう。

そんなときは、夫が全力で止めるので大事には至っていないが、自分をコントロールできない自分を責め、苦しむ。

「私は夫に出会って救われました。PMDDの対策は、身近な人の理解が必要不可欠だと感じています。大切な人には包み隠さずしっかり話すことが大事です。また、症状が出たときにどうしてほしいか、自分の取り扱い方法を伝えておくことが重要だと思います」

工藤さんは最近、会社の上司にも思い切ってPMDDのことを打ち明けた。症状は日内変動があること、月に体調のいい日が5日間くらいしかないこと、鬱症状や身体症状などについて説明。そして、仕事を続けることに対する不安や、周囲からどう見られているかという恐怖心や申し訳なさがあることを伝えた。

すると上司は、「こちらとしてはみんなが働ける職場作りを目指してるから、その人に合った働き方をすればいいと思っている。病気のことをほかの同僚にも伝えておくとフォローしやすいから伝えてもいいか?」と優しい言葉をかけてくれた。

ストレスとうまくバランスをとりながら

伊倉さんも工藤さんも、「カフェインを控えると生理前の不調が軽くなった」と話している。

確かにネットで調べると、生理前の不調にカフェインがよくないという情報をよく見かける。そこで、私がPMDDの治療で通っている心療内科の主治医に聞いたところ、「カフェインには血管収縮作用があるため、摂取しすぎると血行が悪くなり、生理痛や身体的不調を増長することや、神経を過敏にし、興奮させる作用もあるため、イライラや頭痛、不眠のもとになることがある」とのこと。

だからといって、「カフェインを完全に断つべき」というわけではない。限度はあるが、コーヒーや紅茶が好きなら、好きなものを飲んでリラックスすることも大切だ。誰だって、大切な人とけんかなどしたくない。優先すべきなのは、ストレスとうまくバランスをとることだ。

旦木 瑞穂 ライター・グラフィックデザイナー

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たんぎ みずほ / Mizuho Tangi

愛知県出身。印刷会社や広告代理店でグラフィックデザイナー、アートディレクターなどを務め、2015年に独立。グルメ・イベント記事や、葬儀・お墓・介護など終活に関する記事の執筆のほか、パンフレットやガイドブックなどの企画編集、グラフィックデザイン、イラスト制作などを行う。主な執筆媒体は、産経新聞出版『終活読本ソナエ』、鎌倉新書『月刊「仏事」』、高齢者住宅新聞社『エルダリープレス』、インプレス「シニアガイド」など。

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