幻のドリンク「ネーポン」を甦らせた41歳の執念 一度は消えたが試作に試作を重ねて再現した

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小学校時代は楽しく過ごしたが、中学校時代はうって変わっていじめられてしまった。

「成績もよくて調子乗ってたんだと思います。面白そうだと思ってヤンキーの人たちとつるんでたんですね。ヤンキーに

『スカートめくってこい!!』

って言われたら、めくりに行ったりしてました。最初はかわいがられていたんですけど、毛色が違うと思われたのか段々いじめられるようになりました」

休憩時間に不良生徒に殴られたり、ゴミ箱に入れられたりした。

いじめられていることは恥ずかしいと思ってしまい、親にも誰にも相談できなかった。学校でいじめられるようになってから成績も下がっていった。

「いじめられたのは中学1年生の間だけでした。ただ2年生になっても目立たないように、静かに過ごしていました。性格も暗くなったと思います」

高校に入学しても、中学時代にいじめられた経験をふまえて、おとなしく過ごしていた。

ネーポンとの出合い

その頃、テレビ番組「たけし・さんま世紀末特別番組!! 世界超偉人伝説」(日本テレビ)で『アジアコーヒ 日の出通り店』が取り上げられた。かなり荒んだ雰囲気の喫茶店で、そこではコーヒーは売られておらず、メニューにはネーポンとインドカレーしかなかった。

「その番組を見たら、お店はなんとか自転車で行ける範囲の場所にありました。それで実際行ってみてネーポンを飲んでみました。番組の後なので、みんな飲みに来てました。店のおばあちゃんは『瓶の持ち帰りは1000円だよ』とか言ってましたね。その喫茶店もとっくに潰れちゃいましたね」

その頃はもちろん将来的に、自分がネーポンを作るとは夢にも思っていなかった。

まじめに勉強して大学に進学しようと思っていた。

将来的に自分が作ることになるネーポンと高校時代に出合っていた田中さん(筆者撮影)

「大学入試受けようと思って頑張っていたんですけど、高校卒業する前に、小学校からの友人に漫才しようって誘われたんです。僕、すぐに人に影響受ける性格なんです。

お笑いに行ったほうが楽ができそうだし、人気者になれるかもわからんし、儲かるかもわからんし……。そう思って友人とお笑いの専門学校に行きました」

そうして大手お笑い事務所がバックアップしている、専門学校に入学した。学校ではその友人と漫才をやった。

「僕はツッコミやったんですけど、段々友達におちょくられるようになってきたんですね。なんか、蹴られたりして、『僕はツッコミやのにな』って思うようになりました」

乱暴にツッコまれるたびに、いじめられているような気持ちになってきた。中学時代の苦い思い出が甦る。

「いじられておいしい」

と思えばよかったのかもしれないが、だがそうは思えなかった。

結局、考えた末に、1年で専門学校は辞めてしまった。

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