佐藤優が説く「下品な人に心削られない働き方」

会社で急増?自分勝手であまりに図々しい人

図々しいということは、言い換えれば「下品」だということでしょう。すると成功するためには「下品力」こそ必要だということになります。

夏目漱石は名作『吾輩は猫である』で「三かく人間」のことを書いています。「三かく」とは、「義理を欠く」「人情を欠く」「恥をかく」の「三つのかく」のこと。

主人公の珍野苦沙弥先生が、昔の下宿仲間で現在は実業家になっている鈴木藤十郎に向かって、「僕は実業家が学校時代から大嫌いだ。金さえ取れればなんでもする」と言ったところ、鈴木は「金を作るにも三角術を使わなくちゃいけないというのさ──義理を欠く、人情を欠く、恥をかく、これで三角になるそうだ」と返します。

義理と人情を欠くとは、お世話になった人の恩を忘れ、周囲の人たちに対する思いやりの心を持たないということです。恥をかくことを恐れないということは、後ろめたい行為や恥ずかしい行為も、利益があるとなれば平気で行える厚顔さを言います。「三かく」とはすなわち「下品」であることと同じです。お金儲けをするには「三かく人間」=「下品」でなければできないと、漱石は鈴木藤十郎の口を使って言っているのです。

出世に関しても同じ

これはお金だけでなく出世も同じでしょう。私がいた外務省でも、このような「三かく人間」が大きな顔で出世していました。

「三かく人間」は無敵です。自分を縛るものや良心の呵責がないのですから、その意味では自由です。こういう人間は平気で他人を裏切り、蹴落とします。もちろん心を病むことなどありません。その分、他人を病気にしてしまいますが……。

大きな組織の中間管理職以上には、「三かく人間」がたくさんはびこっているので大変です。おそらく読者の皆さんは「三かく人間」でもなければ、それを目指しているわけでもないでしょう。むしろ今の世の中にあって、どこか違和感があると感じ、適応し切れないものを抱えているのではないでしょうか?

そして時として心が折れそうになる。そんな弱さを何とかしたいと考えている人がほとんどではないでしょうか? 下品に落ちることなく、強く生きるにはどうしたらいいか?

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