中外製薬、時価総額で「武田超え」寸前のわけ 血友病治療薬「ヘムライブラ」が支える好業績

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中外の絶好調業績の背景にあるのは、同社が自社で創製した血友病治療薬「ヘムライブラ」の拡大だ。

2018年5月に発売を開始した同薬は、2019年の1年間で1500億円超を売り上げた。大型薬の目安になる年間売上高1000億円を発売2年目でクリアし、急速に成長しているヒット薬だ。

注射は週1回、負担が軽いヘムライブラ

血友病は遺伝子に異常があり、出血すると血が止まりにくくなってしまう病気だ。既存の血友病治療薬は週に2~3回静脈に注射しないといけないが、ヘムライブラは週に約1回の皮下注射で済む。

中外の小坂達朗社長兼CEOは3月に社長職を退く。在任中に時価総額1位の座を奪還できるか(撮影:尾形文繁)

患者への負担が軽いうえ、既存薬の耐性ができた患者も使うことができる。「患者が治療薬を切り替えるスピードが想定より速く、急速に浸透していった」(中外のIR担当者)。

実際、ヘムライブラの発売以降、既存の血友病治療薬の競合製品は総崩れになっている。血友病治療薬でそれまでシェア4割程度を握っていたのが、武田が買収したシャイアーだった。その主力薬「アドベイト」の売上高は2019年3月期に1891億円あったものの、2020年3月期は2割ほど落ち込み、1500億円程度になりそうだ。フランスの製薬大手サノフィも2019年7月、血友病薬の落ち込みによって約2000億円の減損損失を計上した。

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