初公開、50年で「遅くなった」路線ランキング 急行の廃止、新駅の設置など理由はさまざま

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遅くなったのにはいくつかの理由がある。

1. 急行列車が廃止され普通列車だけになってしまった
2. 長期にわたって不通区間があり、代行バスの運行となっている
3. 列車系統が変わってしまった
4~7. 後述

1位から29位までの路線では、50年前そのすべてに、普通列車のほかに急行列車(一部は快速)が走っていた。その多くは非電化路線を走る気動車急行で、全国の国鉄には1日700本以上の気動車急行が走っていた。行き止まり式の超ローカル線以外、ほとんどのローカル線には急行列車が走っていたわけである。現在50年前より所要時間がかかるようになってしまった最大の理由は、急行列車の廃止による。

このことをざっくりとした言い方で表せば、「中距離 準大量 準高速輸送」からの撤退である。

幹線に関しては50年前も現在も、大都市間の「長距離大量高速輸送」は、おおむね堅持されている。

それに反して、地方都市間や比較的近い町どうし(中距離)を少しでも速く結ぶ(準高速)ことに対しては、急行を廃止することにより、手を引いた形である。言うまでもなく、その役割は自動車が担うことになった。

観光路線化で遅くなった例も

上位のランキングを追ってみよう。

1位の日高本線(北海道)、3位の日田彦山線(福岡県など)、8位の只見線(福島県)は、現在長期にわたり一部不通区間がありバス代行輸送が行われている。バスのほうが概して所要時間がかかるうえ乗り換え時間も必要なので、最上位にランクインした。ただし不通になる前のダイヤでも50年前より3路線とも約20~30分遅かった。

とくに只見線は山あり谷ありの美しい車窓風景の中、時間をかけて走るため、鉄道の旅の醍醐味を味わえる路線といえよう。

2位の肥薩線は、直通列車がなくなり、途中の人吉―吉松間でのループ線、スイッチバックによる峠越えを楽しむ観光路線の色合いが濃くなっている。50年前は気動車急行も走っていたが、多くの列車は客車と貨車が同じ列車に連結された普通列車(混合列車)で、SLが編成の後ろにも付いて前牽き後押し体制で急勾配路線を行き来していた。

現在、途中大畑、矢岳、真幸駅では駅舎やSL時代の給水塔などを見るファンのために5~10分停車する。土曜・休日などだけ吉松―隼人間を走る特急列車も、嘉例川駅など明治時代の駅舎を見るため数分間の停車時間が設けられている。運行系統や性格が変わってしまった路線といえる。

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