「新型肺炎」は株価下落の「本当の要因」ではない 病気収束でも株価は年央メドに大幅下落する

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つまり、新型肺炎の流行が、拡大しようと収束しようと、主要国の株価は年央辺りにかけて大幅に下落すると見込んでいる。

先週のアメリカの株価はさすがに大きく下落した。だが、先々週(1月24日に終わる週)の時点で、S&P500の予想PER(株価収益率、企業の収益予想値は米ファクトセット集計、アナリストの12カ月先までの予想平均値)は18.6倍に達していた。

これは近年の最高値である、2018年1月の18.7倍にほぼ並ぶ水準だった。当時は、2016年11月に当選したドナルド・トランプ大統領の経済政策に対する期待が、過度に盛り上がり続けた局面の終盤に当たり、その買われ過ぎが維持不能になって、2018年2月からの株価下落に突入していった時期だ。今回も、新型肺炎騒ぎがなかったとしても、アメリカの株価が自律的な下落に入っていってもおかしくなかったと言える。

一部の銘柄への買いも「限界」に

そうした全体の相場付き以外にも、アメリカの株式市況の「変調」は明らかに生じている。たとえば、フェイスブックは1月29日(水)の引け後に2019年10~12月の四半期決算を発表し、純利益は前年比7%増と、四半期ベースで過去最高利益を更新した。だがこうした好決算にもかかわらず、時間外から翌30日(木)にかけての同社の株価は、5%以上下落した。

この下落について、株価下落を見た後で、「想定ほど売り上げが伸びていない」「費用が思ったより嵩んでいる」という「言い訳」が報じられているが、そうではなく、好決算でも株価が下落した、と解釈すべきではないのか。つまり、同社の収益がよい、という点を過度に事前に織り込んで株価が上がってしまっていたため、その無理が表れた、ということなのだろう。

別の解釈としては、全般的に企業収益が冴えないため、買える銘柄が少なく、フェイスブックなど一部の銘柄に資金が集中して、買うから上がる、上がるから買う、という「うすら寒い」物色が進んでいたが、そうした相場付きが限界に達したのかもしれない。

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