「新型肺炎」は株価下落の「本当の要因」ではない

病気収束でも株価は年央メドに大幅下落する

投資家の期待が集中し、買い上げられた業種としては、半導体関連も挙げられる。実態面で「世界の半導体出荷額が底入れ持ち直しに転じている」、という裏付けはある。だが、株式市場は緩やかにとどまる出荷の持ち直しを過度に好感した面もあったのではないか。先週は、ニューヨークダウは2.53%、ナスダック総合指数は1.76%下落したが、半導体銘柄から算出されるSOX指数は、6.97%もの下落となっている。

この背景には、個別材料として、1月28日(火)に決算を発表したAMDの、企業側の1~3月期の売上高見通しが市場の期待を下回った、といった要因もある。だが、やはりこれまで過度に持ち上げられてきた銘柄群の株価に、きしみが生じてきたと言える。このように、個別物色をみても、新型肺炎抜きに、アメリカの株価は曲がり角を曲がったようだ。

日本経済の不振は「天気のせい」なのか?

日本でも、低迷する鉱工業生産と高水準の在庫、小売売上の不振、下方修正が優勢な企業自身の収益見通しなど、株価下落材料が多い。しかし多くの専門家が「生産などの落ち込みは、昨年10月の大型台風襲来のせいだ」「同12月の衣料品売上の不振は、暖冬のせいだ」と天気のせいにしている。きっと今年1~3月の景気が落ち込めば、新型肺炎だけのせいだと主張するのだろう。

そうした専門家はともかく、黒田東彦日銀総裁も、1月のダボス会議で、「昨年10~12月の日本経済はマイナス成長に陥った可能性があるが、それは天候のせいだ」と、パネルディスカッションで述べている。すべて天候のせいだと考えると、基調としての日本経済の悪化を、見落とすのではないだろうか。

さて今週は、日本では労働力調査や家計調査など、労働、家計所得、消費に関する経済統計が公表され、アメリカでもISM指数(製造業と非製造業)や雇用統計など、市場の注目度が高い統計の発表が予定されている。日米ともに、2019年12月までの企業決算の発表が引き続き行われ、市場が注視するだろう。

こうした材料は、全て新型肺炎騒ぎが大きく広がる前の統計や決算であるため、とりわけ内外株価を上下に振らせるとは想定しがたい。当面の主要国の株価は、新型肺炎に対する不安心理の台頭と剥落に振り回されよう。ただ、すぐでないとしても、実体と株価の乖離は、株価下落という方向で解消に向かうと予想している。

もしかすると、後から振り返れば、偶然、新型肺炎騒ぎがそのきっかけになった、ということになるのかもしれない。こうした流れの中で、今週の日経平均株価は、2万2000~2万3000円を見込む。

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