「新型肺炎」は株価下落の「本当の要因」ではない

病気収束でも株価は年央メドに大幅下落する

(1)(2)のような、経済実態の悪化は、ある程度生じるだろう。その点で、仮に新型肺炎が広がらなかった場合に比べれば、現実に株価に押し下げ圧力が働いているとは言える。

ただ、今回のケースとの比較対象として、SARS(重症急性呼吸器症候群)が2002年11月から2003年7月に流行した局面が挙げられるが、SARSの致死率が10%程度だとされているのに対し、今回の新型肺炎は致死率が3%前後だと伝えられている。この数値は、現時点で判明している患者数で死亡者数を割ったものなので、今後事態が進むにつれて、致死率が変わってくる可能性はある。それでも、今のところはSARSほど致死率が高いようではない模様だ。

また、2003年当時より医療関係の技術が進み、すでに新しいコロナウイルスの遺伝子解析などが進んでいる、との報道も目にする。中国以外でも多くの国で、人の移動を制限するなどの政府の対応がなされており、加えて世界の人々の自己防衛も早く、マスクの着用や手洗いの励行なども広がっている。そもそも、インフルエンザウイルスと性質が類似だとすれば、新型肺炎のコロナウイルスは高温多湿に弱いはずなので、流行は当面の冬場から春先にとどまる公算が高い。

とすれば、経済成長が抑制されるとしても、主に1~3月に限られるのではないだろうか。当面の世界の株式市況は、前述3)の不安心理の亢進や沈静化により、短期的には上下に振れ続けると懸念されるが、新型肺炎が、何カ月も主要国の株価を押し下げ続ける要因になるとは、考えていない。

新型コロナが収まっても、今後の株価は下落基調になる

では、新型肺炎が中長期的な株価下落要因ではないとして、この先新型肺炎の流行が沈静化すれば、株価は力強い上昇基調に転じるかと言えば、そうは考えてない。

これまで当コラムで繰り返し述べてきたように、今後の株価を予想する筆者の最も「背骨」になる考え方は、世界の景気や企業収益が低迷しているにもかかわらず、アメリカを中心に株価が高過ぎるため、現在の株価が大きく下がって実態に沿った水準にサヤ寄せすることになるだろう、といったものだ。

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