「新型肺炎」二次感染、バス経営者が訴える恐怖 「訪日客ツアーバスの関係者に感染検査を」

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春節の大型連休で日本を訪れた中国人観光客と観光バス(写真のバスは新型肺炎感染者や本文中のバス会社とは関係ありません)=東京都中央区(写真:時事通信フォト)

新型コロナウイルスによる肺炎が世界的に拡大している。日本国内でも、ウイルスの発生源とされる中国・武漢市への渡航歴がない人が感染し、さらにヒト―ヒト感染による三次感染が疑われる事例も発生した。日本人で初の感染者は武漢からの観光客を乗せたツアーバスの運転手だった。

事態が深刻さを増す中、最前線で仕事をせざるを得ない貸し切りバス事業者の経営者が胸中を語った。そこには、医療関係者の視点とは違った感染拡大防止のヒントがあった。

訪日客向けバス関係者の検査を

取材に応じたのは、都内で20年以上貸し切りバス事業を営む会社の経営者だ。貸し切りバスは国内初の二次感染(渡航歴のない日本人の感染)の現場となり、同じ車内でさらにその先の感染を疑われる三次感染の事例も出たとされる。その影響は深刻だ。

だが、彼が語ったのは風評被害による経営悪化ではなかった。

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「私が心配するのは、これで利用者が減ることではありません。むしろ国内での蔓延を防ぐためにも、限定的でいいから貸し切りバスの関係者への検査に乗り出すべきだと思うのです」

貸し切りバスが抱える特異な環境で二次感染が起きた理由について、医療関係者ではない彼なりの理解はこうだ。

「一般的にはツアーバスと呼ばれる貸し切りバスは、国内利用者向けとインバウンド(訪日外国人)向けに明確なすみ分けができています。武漢市から訪れたツアー客を乗せた貸し切りバスはこうした訪日客が専門で、日本人利用者を相手にしないのです」

そこで、こうした訪日客向けの貸し切りバス関係者に対して検査を行うことが、新型肺炎の感染拡大を防ぐ有効な方法になるのではないか、というのだ。

次ページ客との接触は運転手よりツアーガイドのほうが長い
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