令和時代を生きる20代女性が発した切ない言葉 女でも稼げる仕事がしたい、の大きな意味

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――酒向さんは20代ですが、「稼ぐこと」についてどんな風に考えていますか? 経営者という立場になったからには、バリバリ稼ぎたいという気持ちがあるんでしょうか?

酒向:うーん、バリバリ稼ぐっていうより、「ちゃんと稼ぎたい」っていう感じですかね。

女性だから、男性だから、関係なく、仕事で発揮した価値に対しては正当な報酬をもらいたい、という感じです。なので、「女だから稼ぎはそこそこでいいでしょ」とも思っていないというか。

治部れんげ(じぶ れんげ)/フリージャーナリスト。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。1997年一橋大学法学部卒業後、日経BP社入社。経済誌の記者・編集者を務める。2014年からフリーに。国内外の共働き子育て事情について調査、執筆、講演などを行う。著書『稼ぐ妻・育てる夫―夫婦の戦略的役割交換』(勁草書房)、『ふたりの子育てルール』(PHP研究所)、『炎上しない企業情報発信 ジェンダーはビジネスの新教養である』(日本経済新聞出版社)など(写真:Woman type)

治部:私が20代だった頃なんかは、独身時代はほどほどに稼いで結婚してって考えている女性が多かった。「結婚さえすれば、より良い生活が待っている」みたいな幻想をみんなが持っていたんですよ。

そもそもキャリアの選択肢がかなり少なかったっていう社会構造上の問題もありますけどね。

ちなみに、酒向さんの世代にもそういう結婚幻想のようなものはあるんでしょうか?

酒向:私の身近な人たちではあまりないかもしれませんが、一部の人の中ではまだあるような気がしますね。

あと、結婚したら男性に大黒柱になってほしいって考える女性もまだまだいるはず。

先ほど治部さんも仰っていましたけど、自分が育った家庭に影響を受けるところが大きいんだと思います。

治部:経済的なことって、よその家庭の事例が見えにくいっていうのもありますしね。

お母さんみたいになれないけど…

――今の20代の親世代は、お母さんが専業主婦だった家庭が多いはずですよね。働いていたとしても、自営業か、パートやアルバイトで。

酒向:私は1994年生まれですが、まさにそうでしたね。母親はパートタイムで働いていたので、学校から帰る頃にはいつも家にいてくれました。

酒向さんの父親が仕事から帰ってくるのはいつも深夜。平日に顔を見た記憶がほとんどない(写真:Woman type)

治部:酒向さんは自分のお母さんみたいになりたいと思いますか?

酒向:うーん、なりたいというか……。お母さんがいつも家にいてくれたことはありがたかったから、「自分はお母さんみたいになれないけど、それでいいのかな」とは考えてしまうことはありますね。

治部:お父さんみたいになるのはダメですか?

酒向:うちの父はものすごく長時間労働だったんで、嫌ですね(笑)

一家の大黒柱としてめちゃくちゃ働いていました。いつも帰ってくるのは深夜だし、私が朝起きる頃にはもう出社していたから、平日はほとんど顔を見た記憶がありません。

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