乗客減でも収入維持、「異業種」鉄道会社の戦略 地域の活性化に一役買う「京都丹後鉄道」
レストラン列車の「くろまつ」は金・土・日・祝日の運転で、「スイーツコース」や「ランチコース」、地酒やワインを提供するコースなどさまざまなコースがあり、若い女性層や中高年の女性層・熟年夫婦をはじめ、中年の男性層など新たな客層も開拓しているという。
いずれのコースも地元産の食材を用いて、地元のレストランなどが料理を提供するが、これは鉄道側の目玉になるだけでなく、レストラン側にも魅力がある。
レストラン側は自店舗以外の場所で食事を提供することで宣伝となり、一方で広告などは京都丹後鉄道が自社のウェブサイトなどで行うため不要である。給仕も鉄道側が行うため、レストラン側は新規にスタッフを雇用する必要はない。そのうえ、京都丹後鉄道は「地域活性化」「地元との共存共栄」を掲げているため、マージンなどは一切請求しないという。
それゆえ「くろまつ」は、観光列車の「あかまつ」よりもさらに地元に落ちる金額が大きくなる。結果的に、持続可能な地域づくりに貢献しているといえる。
クラウドファンディングでカフェ
地域との連携を深める施策は観光列車以外にもある。2018年6月には、宮津駅構内に「丹鉄珈琲~114kmCafe」という店舗が開業した。「114」という数字は、京都丹後鉄道の営業キロ数とほぼ一致する。
観光客や地元客の集まるにぎわいの場としての役割が期待されているが、ユニークなのは開業資金の支援をクラウドファンディングで募ったことである。クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」を活用し、その結果、122人の支援により約140万円の資金が得られ、それを元に「丹鉄珈琲~114kmCafe」が開業した。
このカフェでは、オリジナルブレンドの「丹鉄珈琲」や地ビール、地元の食材を使用したスイーツの提供などを行う。丹鉄珈琲は「日光珈琲」(栃木県日光市)と、「くろまつ」車内でもスイーツを提供する「城崎スイーツ」(兵庫県豊岡市)が新たに立ち上げた「城崎珈琲焙煎所」でロースト・ブレンドされたご当地コーヒーである。
京都丹後鉄道は、沿線周辺でのビジネスや列車を使った新しいサービスなど、沿線の価値を上げるビジネスに特化した「丹鉄ファンド」を設けており、城崎珈琲焙煎所は同ファンドを活用している。京都丹後鉄道は城崎珈琲焙煎所と連携し、丹鉄珈琲を114kmCafeや車内で提供するほか、通信販売なども展開することで、地域のビジネス活性化につなげている。
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