現時点では、能天気と揶揄される筆者でも、軽はずみな楽観論は言えない。今のところ日本の毎年のインフルエンザの流行に比べてはるかに少ない感染者数だが、ワクチン研究はこれからで、しかも「中国14億人分」に配る分が出来るのかなどと考えると、確かに株式市場が嫌う「不透明感」がいっぱいだ。
ただ、荒れ狂う日本のインフルエンザも、さすがに温度・湿度の高まる春には沈静化する。「一難去ってまた一難」だが、「難」は、どこかでまた去る。昨年同様、「安いところが出たら買えば良いだけだ」という筆者の持論は変わらない。
「正の連鎖」が動き出す?
株価上昇の基本的準備は整っている。先週末に発表された1月の米製造業PMI速報値は51.7と、昨年12月の52.4から低下し同10月来の低水準となった。だが、好不調の分かれ目である50台は維持している。
さらにサービス業PMI速報値は53.2と、予想以上に同12月の52.8から上昇し、昨年3月来で最高となり、総合PMI速報値も53.1と、やはり12月の52.7から上昇しこちらも、昨年3月来で最高になった。
一方、1月の英国PMI速報値は、製造業とサービス部門を合わせた総合PMIが52.4と、予想の50.6を大幅に上回り前月の49.3からも上昇して2018年9月以来の高水準を記録。これにより英国経済が上向いていることが浮き彫りになった。
また同日発表された日本の1月の製造業PMIは、49.3とまだ50を下回っているが、12月の48.4から明らかに反転している。やはり日本は「ものつくり日本」だ。製造業の趨勢は重要で、このまま回復すれば日本株の割安感(予想PERはS&P500が20倍台、TOPIX16倍台)が認識されよう。なぜなら名目GDPに対する製造業比率は、アメリカの11%に対し日本は22%(2019年ものつくり白書)とアメリカに対して倍の影響力を持つからだ。
昨年8月以降、アドバンテストや信越化学に代表される半導体関連株が上昇している。5GやIoTへの期待もあるが、筆者は製造業としての「在庫調整の完了」が大きいと考える。同じく在庫調整が完了していて次に期待されるのはファナックに代表される「機械・FAロボット」だが、これについては株価上昇期待への賛同者も多い。
しかし、「鉄・非鉄」は全く無視されている。これらの業界も静かに在庫調整が進んでいる。さらに言えば「在庫調整」という言葉にはそぐわなないが、実質的「不良在庫」である不採算工事受注残高がほぼ消えている「建設」もこの範疇に入る。半導体関連から、「機械・FAロボット」へ、そして「鉄・非鉄」「建設」へ正の連鎖が動き出せば、2万4000円台のバブル後高値など、通過点に過ぎなくなるだろう。
チャートでも面白いシグナルが出そうだ。日経平均月足で、12カ月移動平均と24か月移動平均のゴールデンクロスがもうすぐ出現する。このシグナルは2013年春、2017年春に出て、アベノミクス相場では非常に重要な上昇シグナルとなっている。2020年春も、湿度・温度上昇と共に新型コロナウイルスが下火になれば、前2回と同じ上昇シグナルになる可能性がある。春からの正の連鎖に期待したい。今週の日経平均予想レンジは2万3500円前後~2万4000円とする。
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