中韓鉄道メーカー、「欧州本格展開」への高い壁 東欧などで受注獲得、信頼と技術向上がカギ

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アジアのメーカーは、なにも中国中車だけではない。日本のお隣、韓国のヒュンダイ・ロテムも、世界シェアでは日立に次ぐ7位に位置する業界大手だ。同社は中国中車と同様、自国向け車両を中心に、南北アメリカやオーストラリア、アジア諸国へ車両を供給してきた。

ヒュンダイ・ロテムのブースに展示された高速列車模型。同国の高速列車KTXは、元をたどればアルストムのTGVをベースとしたものだ(筆者撮影)

欧州ではそれほど多くの実績はないが、EU加盟国ではないものの、比較的実績が多いのがトルコだ。路面電車や近郊電車などの旅客用車両に加え、2010年には汎用電気機関車を80両受注し、2015年から順次納入している。

ほかには2005年にアイルランドの近郊用気動車、2009年にギリシャのアテネ地下鉄向け車両、2010年にウクライナ向けインターシティ車両などの受注があったが、これまではいずれも小規模な案件ばかりだった。

欧州初の大型案件を獲得

ところが2019年2月8日、ポーランドのワルシャワ市交通局が低床式路面電車213本(オプション契約分を含む)の優先入札者にヒュンダイ・ロテムを指名したと発表、6月に正式契約を結んだ。落札額は18億5200万ズウォティ(約533億円)で、一部にEUから調達した資金が使用される。

共に争っていたペサ(ポーランド)、およびシュタドラー(スイス)/ソラリス(ポーランド、現在はスペインCAF傘下)のコンソーシアムは、いずれも交通局側の想定する予算額をクリアできなかった。

ワルシャワ市で活躍する、地元ペサ製100%低床車Jazz。同市の最新車両である(筆者撮影)

ワルシャワ市交通局では、もともと2017年8月に行われた入札で、チェコのシュコダが最高得点を獲得したものの、交通局が定める予算額を上回る金額(予算上限23億ズウォティに対し3億8700万ズウォティのオーバー)だったことから、この入札はキャンセルされ、2018年9月に再入札が行われていた。

ワルシャワ市交通局の発注数は、85本の33m両運転台仕様と18本の33m片運転台仕様、それに20本の24m片運転台仕様の3タイプ合計123本で、33m車は90本のオプション付きだ。

まず2022年10月末までに123本が納入される予定で、交通局は状況を見ながらオプションを行使するかどうか決定するとしている。今回のワルシャワ市交通局との供給契約は、ヒュンダイ・ロテムにとって欧州初の大型案件獲得だったと言っても過言ではないだろう。

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