米国株は、4つに分けて考えよう マネックス証券・山岸大統氏に聞く(下)
スターバックスの上陸で、カフェ文化が一段と身近に
3つめは、一部は1番目と2番目の区分と重なりますが、日本でも展開している企業です。アメリカは国土が広く、消費者による消費行動は、郊外に行けば行くほど、大量に商品を買い込む、ということになるようです。
アメリカのホームドラマを見ていて、倉庫のような驚くほど広い店舗で買い物をする姿に、アメリカのスケールを感じた方も多いでしょう。まさに、そのようなアメリカンスタイルの会員制スーパーが、コストコ・ホールセールです。1999年に日本に上陸した当時は苦戦をしていましたが、徐々に店舗を増やしてきました。
スーパーマーケットに入店するだけでも年会費が必要な形態は日本では前例がありませんでしたが、日本各地のコストコの店舗に行けば、この倉庫型スーパーマーケットが、多くの消費者に受け入れられていることがわかると思います。このようにアメリカ企業のビジネスは、私たち日本人の生活や価値観を変えつつあるほど、強い影響力を持っています。
コストコは「?」という人も、日本で1000店を超えたスターバックスなら、こうした区分の代表格と言って納得してくれるはずです。長らく日本の珈琲文化は、カフェよりも喫茶店でしたから、現在のようにコーヒースタンドでテイクアウトしたシアトルコーヒーを歩きながら飲むといったスタイルは、ほとんど考えられませんでした。
しかし、他のコーヒースタンドとの出店競争も相まってスタバのようなシアトル系カフェが主流になってきたのです。さらにおしゃれなインテリアやフレンドリーな接客などからつくられる高いブランド価値により、高めの価格設定でもファンが離反しないというマーケティング力。デフレ経済が日本で広がっていたときでも、日本全国で店舗数が増加していたことを考えても、そのブランド力に揺るぎはないといえます。
安定企業で高配当を狙う
最後は、高(好)配当を狙って投資するという手法です。前回も触れたとおり、アメリカ企業の特徴の1つは、高い成長性です。IT・ハイテク企業にその傾向が顕著ですが、すべての企業が永続的に高い成長を維持できるわけではありません。しかし、安定的に利益を出し続け、高配当をする企業はやはり魅力的です。
たとえばインテルです。設立こそ1968年と歴史がありますが、1981年にIBMが発表したIBM-PCに同社のCPUが採用されたことで急成長し、その後1990年代~2010年代までOS市場において圧倒的なシェアを持っていたマイクロソフトと強力なタッグを組んで「WinTel」(Intel製チップが入ったWindowsPC)で、長期間市場に君臨しました。
日本でもTVコマーシャルで「Intelはいってる」のフレーズはすっかりおなじみです。しかし近年のスマートフォンの急速な台頭で「モバイルの波」に乗り遅れ、スマホ・タブレット向けCPUでは1ケタのシェアしかなく苦戦しています。しかし、一方ではサーバー向けMPUでは9割以上の市場シェアをもつ同社の収益は非常に安定しています。