中東情勢緊迫で2020年は金が一段と上昇する

これから安全資産への需要はますます高まる

昨年12月10-11日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では、それまで3会合連続で行われてきた利下げが打ち止めとなり、同時に発表されたドット・チャートとよばれるFRB高官の金利予想でも、17人中13人までが2020年を通じて金利が据え置きになると予想、0.25%の利上げ予想が4人、利下げ予想はゼロという結果となった。市場でもかなりの期間金利は据え置きになるとの見方が大勢を占めるようになったが、今回の事態を受けて利下げ観測が再び台頭、米短期金利先物市場を扱うシカゴ商品取引所(CME)が算出している金利予想(FED Watch)のサイトでも、年末までの0.25%利下げが行われる確率が高まってきている。

この先中東情勢不安がさらに高まり、投資家のリスク回避の動きが高まる中で株価の調整が大きく進んだとしても、一方で利下げ期待も高まるなら、相場も比較的短期間で回復することも考えられよう。

一方、景気の先行きに関しては、引き続き見通しは厳しそうだ。地政学リスクの高まりによって、軍需関連の需要は押し上げられるかもしれないが、テロ攻撃に対する警戒感などから、経済活動全般が委縮してしまうことの影響の方が、より大きく出てくることになるだろう。

「安全資産」「投資資金流入」で金が一段と上昇へ

米中貿易交渉は、15日にも第1段階の合意に正式署名される見込みだが、それで万事が良い方向に動いているわけでは決してない。アメリカは昨年9月に発動した関税に関しては、15%から7.5%に引き下げるとしているが、2018年に賦課した25%の関税は据え置いたままであり、景気への悪影響も残ることになる。

また第2段階の交渉についても、トランプ大統領はすぐにでも開始するような見方を示しているが、残されているのは産業への補助金の問題など、中国の内政にも干渉するような内容が多い。これまでの交渉で合意が困難なものだったということも忘れるべきではない。2020年内に合意の目途が立つ可能性は極めて低く、今後も関係者からも楽観的な見通しはあまり聞かれなくなるのではないか。

これまでのFRBによる積極的な利下げの効果もあって、景気後退(2四半期連続のマイナス成長)に陥ってしまう恐れは遠のいたのかもしれないが、まだしばらくは穏やかなペースでの景気減速が続く可能性は十分に高いと見ておくべきだ。今後発表される経済指標に弱気の内容が多くみられるなら、市場の不安も改めて高まってくることになりそうだ。

こうした状況下、投資家はどのような投資対象に資金を投入すれば良いのだろうか。地政学リスクが高まり、FRBが金融緩和を再開する可能性も浮上、さらには景気減速に対する懸念が残ることを考える限り、やはり金市場への投資が一番の選択肢となるだろう。

投資家のリスク回避の動きに伴う安全資産としての需要の高まりと、投機資金の流入の両方が押し上げ要因となる相場は、それほど多くあるわけではない。現在1トロイオンス=1500ドル台の金価格は今夏までに1700ドル台まで値を伸ばす可能性が高い。景気減速や株価の調整が思った以上に厳しいものとなれば、年内1800ドルをうかがう展開になることがあっても、何ら不思議ではない。

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