銀座線渋谷駅「6日間運休」で挑む工事の全貌 ホームを表参道寄りに130m移設、幅も広く

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丸みを帯びたM字型のアーチが連なる屋根は新しい駅のシンボルで、すでに設置済み。だが、線路をすっぽり覆う形のため、そのままでは資材の搬入や搬出が難しい。このため、屋根や側面の一部はあえて外壁のパネルを張らずに開口部をつくり、クレーンでの搬入がしやすいようにしている。

撤去した線路のバラスト(砂利)を地上に落とすシューター(右)(撮影:尾形文繁)

また、撤去した線路のバラスト(砂利)を搬出するため、高架上から地上に直接落とせるシューターも設置。工事に使う約10台のバックホー(重機)は、表参道寄りの区間にある大きな開口部からクレーンを使って投入した。

今回の工事では「画期的、革新的な工法は採用していない」と西川技術課長。だが、技術的な難易度は高く、とくに資材の搬入・搬出については「材料を事前に細かく分割したり、いろいろな場所から出し入れができるようにしたりと工夫した」と話す。移設する線路についても、事前に敷設できる箇所については半年ほど前から準備を始めていたという。

運休を伴う工事は「変化の象徴」?

銀座線渋谷駅の移設工事で、電車が運休するのは今回で3度目。ただ、6日間にもわたる運休を伴う工事は東京メトロ初だ。当初は同社でも「前代未聞だ」との声も出たというが、今回の年末年始は連休が長いこともあり、利用者への影響が比較的少ないこの時期の実施に踏み切ったという。

折り返し運転のため、「浅草方面」などの表示の上に「青山一丁目方面」の表示を張った表参道駅の案内板(撮影:尾形文繁)

運休の告知は半年前から実施し、東京メトロ全駅にポスターを掲出したほか、首都圏のJR、大手私鉄、地下鉄など14の鉄道事業者にもポスター掲出を依頼し、早いうちから利用者への周知を図った。運休期間中は折り返し運転区間の駅で、通常は「浅草方面」「渋谷方面」などと表示しているホームの乗り場案内を「青山一丁目方面」や「降車専用」に張り替えるなど、細かな対策も行っている。

都心部で電車の運休を伴う大規模工事といえば、今年11月、JR山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」開業に向けた線路切り替え工事で、同線や京浜東北線が運休したことが記憶に新しい。都心の動脈をストップさせての工事が続くのは、東京という都市が大きな変化を遂げつつあることの表れともいえそうだ。

渋谷駅東口の象徴的な風景でもあった、ビルの3階に出入りする銀座線。新年からは、明治通りをまたぐM字型の屋根のホームが新たなシンボルとなる。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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