冷凍タピオカを売る「業務スーパー」が今スゴい

株式市場で評価が急上昇、神戸物産の別な顔

業務スーパー事業のセグメント別売上高を見ると、前期は2641億円で前々期比で11.6%増だった。出店が計画を7上回る32店の純増を果たしたこと、消費増税後も堅調に推移したこと、などが理由に挙げられる。地方テレビの取材を含めたメディア露出が「多様な新規顧客の獲得につながった」(沼田社長)という運にも恵まれた。

そのきっかけは2019年2月に放映された、TBSがキー局のバラエティー番組「坂上&指原のつぶれない店」である。ここで人気のスイーツ商品の売れ行きを、生産現場の状況まで約40分間にわたり、掘り下げて紹介されたのだ。

300gで275円(税別)の手軽さが受けた、自社輸入の冷凍インスタントタピオカ(写真:神戸物産)

とりわけ、輸入PB品の冷凍インスタントタピオカは、自宅で手軽にタピオカミルクティーが楽しめるとSNS上で拡散し、店頭から在庫が消えるほどの売れ行きとなった。「ブームが急に来たことや原料の取り合いになったことで仕入れ先の拡大が難しい状況になった」のが欠品の理由だという。

また若い女性など「明らかにいなかった年齢層の流入があった。冷凍タピオカが売り切れていても、ほかの店にない商品を面白がってくれた。販売がギリギリでぱっとしない冷凍のスイーツやフルーツまで売れるようになった」(沼田社長)。

一時のブームに乗っかったままではない

神戸物産によると、インスタントタピオカは2015年ごろから発売し、業務スーパー以外の販売ルートは基本的にない。アマゾンなどのネット通販で商品が売られているが、神戸物産が出品をしたものではない。タピオカに限らず「人気の商品は仕入れ先を複数に分散させるなど、欠品が起こらない取り組みをしている」(同社)と説明する。

2019年の株式市場では、タピオカブームに乗っかる関連銘柄として、神戸物産に注目する向きもあった。だが沼田社長は「供給先の状況で売り逃しの時期が長かったので、業績に直接影響しているわけではない」と冷静にブームを振り返る。

今期の会社計画は、前期のようなメディア露出効果を織り込んでおらず、売上高3118億円(前期比4.1%増)、営業利益203億円(同5.5%増)、純利益133億円(同10.3%増)の成長率にとどめた。店舗数は2020年10月末時点で875店と年間30店の純増を見込む。決算説明会の席上、沼田博和社長は「今第1四半期はいい数字が出るだろう」と、幸先のよい出足になるとの見通しを述べた。

それでも、取り巻く環境のよさには慢心せず、既存店の活性化につながる店舗スタイル刷新の手を、緩めるつもりはない。

その1つが、店舗の空きスペースに厨房機器を置いて最終調理し、総菜・弁当を陳列棚に並べて手頃な価格帯で提供する中食事業だ。「馳走菜(ちそうな)」と呼び、2018年2月から始めた新業態である。

次ページこれが中食の「馳走菜」だ
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