「みんクレ」元社長が裁判でぶちまけた恨み節 証言台で金融庁や東京都の「政策ミス」を告発
2016年12月からの証券取引等監視委員会の検査によって、そのような募集と融資の実態、さらには白石氏が自身の預金口座に投資家から集めたお金を送金させていたことなどが判明。前述のような業務停止命令などを受け、白石氏は2017年4月に社長を辞任した。
みんクレは財務局に指摘された業務上の問題点をその後も改善できず、事業を再開できなかった。そうするうちに、みんクレが融資したBWJ、関連会社からの返済が滞り、未返済の31億円については自力回収を断念。わずか1億円でサービサー(債権回収会社)に債権を売却し、投資家の出した30億円が戻ることはなかった。
親会社への融資は「当局も認めていた」
11月6日、民事訴訟の当事者尋問が開かれ、原告側は投資家2人が、被告側は白石氏と前社長の阿藤豊氏が証言した。先に証言した原告の投資家は、「みんクレは複数企業に融資して運用するものだと信じて投資していた」「親会社や関連会社に貸すのであれば投資していなかった」と訴えた。
一方、白石氏が法廷で展開した主張は大きく2点ある。1点目は、親会社などへの融資は当局も事前に認めていたというものだ。
ソーシャルレンディングは、投資家から資金を集める際には金融商品取引法(金商法)の規制を、集めた資金を融資する際には貸金業法の規制を受ける。金商法上では第二種金融商品取引業の登録が必要となる。その登録の際、次のようなやりとりがあったと白石氏は証言した。
「初年度は(融資の)90~95%を親会社などグループ向けで回すけれども、2年目、3年目は70%、50%と落としていく。3年目にグループ向けが50%になればいいでしょうということで許認可をもらった」
つまり、業務停止命令を受けた2017年の時点で親会社などグループ向けの貸し付け比率が高かったことは、行政当局も認めていた既定路線だったというのだ。実際には、グループ外への貸し付けが思うように進まず、サービス開始初年度は97~98%がグループ向け融資だったという。
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