限られた時間の中で、お互いが濃縮された時間を共有し、「一期一会」の宴会を通じて余韻を残して別れることに「歓楽極まりて、哀情多し」と感じたものである。
当時は、今や中国でも当たり前のようになった「二次会のカラオケ」もないので、後ろ髪をひかれるように宿舎に戻ったものだ。私は、今のように宴会の後に日本のような「二次会」に行く習慣は、実は日本人が持ち込んだものだと考える。もちろん、「カラオケ文化」は日本人が中国に持ち込んだのだから、「二次会は出るな!」の著書としては、正直言って複雑な気持ちだ。
宴会で相手の会社の権力構造をチェックせよ!
さて、話を「宴会そのもの」に戻そう。宴会では、呼ばれた日本人はもちろん、中国側のメンバーもたくさん参加する。初めて宴席で名刺を交わす場合も少なくない。その際、正式な宴会ではその「席次」がはっきりしている。そのため相手の公司(会社)の序列が分かるのである。
たとえば、今はかなり減ったが、昔は主人とともに、「ビジネスには何の関係もなさそうな幹部」が同席することが多かった。若くて、何となく威圧感のあるタイプが目を光らせていたがこういう人は会話にもあまり参加しないので目立たない。
これは、関係組織を管理する共産党幹部であり、企業や工場のお目付役として、宴会に出てくるのだ。地方に行った時は必ずと言ってよいほど指導的な立場で宴会に参加していたものだ(もちろん、今でも存在する)。
大体において彼らは人事権を振りかざす人民政府への報告役であるから、宴会の主人役をする総経理や工場長も、結局は頭が上がらないのである。日本人ビジネスマンがよく思い違いをするケースは、「恰幅が良くて、押し出しの良い人物が主人である」と勘違いすることだ。
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