男の子は「鶏口より牛後になるべき」深い理由 名物校長が語る「自己肯定感の高め方」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

スポーツを本気でやってきた人というのは、「負ける経験」をたくさん積んでいます。そしてその中で、悔しい思いに耐えながら、勝つための方法、レギュラーになるための方法を必死で考え、実践し続けます。この経験が、社会人になったときにも、生かされるのです。負けても、負けても、そこから這い上がる力があることが、就職で評価されているのです。

負けるために、上へ上へとチャレンジしよう

逆説的に響くかもしれませんが、「負ける」という経験をするためにも、勉強においても、スポーツにおいても、上へ上へとチャレンジさせてください。そうすれば、必ず負ける経験にぶち当たります。

『男の子の「自己肯定感」を高める育て方』(実務教育出版)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

例えば開成への合格は、一見「成功体験」に見えるかもしれませんが、そうではありません。開成には小学校時代トップクラスの子が集まるわけですが、5月の末にある中間試験で、「成績上位だ」と思える子というのは、ほんの一握り。残りの大多数の子は「なんで俺がこんな順位になるんだ?」と、自分が初めて経験する成績にびっくりするわけです。

ここで子どものころから持っていた「成績がいい」というところを拠り所にした自己肯定感が崩れ去ることになります。ですから生徒たちは、勉強以外で自分の自己肯定感を支えてくれるものを、学校生活の中で見つけていかなければならないのです。

そういった意味で、中学受験や高校受験は、上を目指してチャレンジすることで、合格しても、不合格であっても、子どもにとってプラスの財産になる「負ける経験」をすることができます。親が安全策ばかり立てていると、子どもは失敗しないまま人生を進み、初めて失敗したときには、立ち直れないほどのダメージを受けてしまうかもしれません。

スタートは「牛後」でいいのです。そんな自分を見つめることも、そこからトップになるように奮起することも、男の子の生きる力を育むうえで、大きなプラスになるからです。

(構成:黒坂真由子)

柳沢 幸雄 東京大学名誉教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やなぎさわ ゆきお / Yukio Yanagisawa

北鎌倉女子学園学園長。1947年生まれ。東京大学工学部化学工学科卒業。民間企業に勤務後、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、同大併任教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て、2011年より開成中学校・高等学校校長を9年間務めた。2020年4月より現職。近著に『お母さんに知ってほしい 思春期男子の正しいトリセツ』(SBクリエイティブ)がある

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事