管理職も私たち流!ナナロク世代の流儀 元専業主婦、落ちこぼれ社員だからこそ
部下に問うのは、「40歳の今日、どうなっていたいか」
――伊藤さんは統括編集長として、今、何人くらい部下の方にどういうマネジメントをしてらっしゃるのですか。
伊藤:編集部員は今、約60人いますが、20代と30代の前半までが多いのです。面談のときには「40歳の今日、自分はどうなっていたい?」と問うようにしています。目標とかキャリアアップではなくて、何が見えていたいか。たとえば子供がこんなことをしていて、自分は仕事がとても楽しいとか。人によっていろいろなのですが、それをまず一緒に話します。
特に20代30代はいろいろな選択肢の中で悩むメンバーが多いですね。40歳のときにこうなっていたい。そのためには今の自分はどうしていくか、どうやってそこまでたどり着くか、というテーマで相談に乗りながら聞いています。
もうひとつは、私は28歳のときに本当にスキルゼロからスタートしているので、それに比べると、どう考えてもみんなのほうが絶対に先輩だということは、いつも言いますね。雇用形態もいろいろですし、性別も年齢も志向も違うので、私自身はロールモデルの一部にしかなりえない。ですから自分で将来の絵を描く視点を持ってもらうことを、大事にしています。
山ほどある「できない理由」にどう対処するか
――小林さんのお仕事はブランドのイメージやプランを考えるけれど、やってもらうのはいろんな各部署ですよね。その調整は大変ではないですか?
小林:はい、私たちの場合は直接、チームに部下がいるわけではなくて、いろんな部署から集まって、ひとつのプロジェクトチームとして仕事をしています。今、担当している「い・ろ・は・す」だと、導入のときから国内最軽量のボトルを作りたいとか、チャレンジすることが多くて、特に技術チームの開発の負担が多いんですね。そうすると、こちら側がこういうことをやりたいって言うと、大体、まず最初に各部署からできない理由がバーッと上がってくるのです。こういうことがルールでできませんとか、現実問題として難しいとか。
そこを、じゃあどうしたらそれができるんだろう、できない理由をみんなで集めてもしょうがないから、どうやったらその課題を変えられるのか、それができたらすごいじゃんという話を、何の根拠もないのですけど、いつもするようにしていますね。
――怒ることはないのですか?
小林:イライラすることもいっぱいあるんですけど(笑)。我慢できない部分はほかのメンバーと共有して、同意を得て、発散します。飲みながら切り替えてやっていますね。でも言われるのはみんなが失敗しないように思っているということなので、すごく幸せなことですね。
――切り替えですね、やっぱり。自分ひとりではなかなかリセットできないことを、仲間と共有するという形で。
小林:そうですね。無理なお願いをこっちもしているし、みんながチャレンジをしているから、基本的にはできなくてしょうがないので、みんなにダメって言われても当たり前という気持ちから、スタートするようにしていますね。