アマゾンの制裁で会社を潰しかけた36歳の告白 月500万円の売上がアカウント停止後に凍結

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アマゾンの主張は、商品の著作権の侵害があったので、永井が著作権の権利者と直接話し合い、権利者との間で問題が解決したら、権利者からアカウントスペシャリスト宛に、権利者から著作権侵害の申し立てを取り下げる、と連絡するようにとのことだった。

永井はこう語る。

「はじめは何のことかまったく訳がわかりませんでした。僕が、どの商品が著作権を侵害しているんですか、権利者はだれですか、と尋ねても、答えはないし、こちらが今後はすべての商品で相乗りをやめます、という改善策を出しても、それでは不十分だ、という答えが返ってきたんです。アマゾンは最初から僕のアカウントを閉鎖するつもりで、のれんに腕押しの対応でした。汚いやり方だ、と思いました」

何度かのやり取りのあと、アマゾンのアカウントスペシャリストから次のようなメールが永井に届いた。

「このたびご提出いただいた情報をもとに出品者様のアカウントを慎重に審査した結果、出品者様のアカウントを閉鎖させていただくという判断に至りましたので、ご連絡申し上げます。/再開ご希望の旨をご連絡いただき誠に恐縮ですが、ご提供いただいた情報では本件問題を解決するには不十分であると、当サイト担当部署にて判断いたしました」

マーケットプレイスの“暴君”

一方的なアカウント閉鎖の通知だ。永井はこう語気を強める。

「アカウントの閉鎖は、人殺しにも等しい行為だと思っています。アマゾンとやり取りしていた2週間で、80キロあった僕の体重は74キロまでに落ちました。家には小さな子どもが3人いるし、進退窮まりました。でも、アマゾンはマーケットプレイスにおける“暴君”ですから、その決定に逆らうすべはありません」

いったい何が起こったのだろうか。永井の推測はこうである。

アマゾンは、出品者の言うことより、消費者の言うことに耳を傾ける傾向が強い。顧客第一主義を掲げるアマゾンならではの論理だ。永井から相乗りされた出品者が、消費者を装ってアマゾンで永井の商品を買い、商品ページの説明と商品が違う、とクレームを入れた。例えば偽物が送られてきた、というようなクレームである。その結果、永井のアカウントが目をつけられ、閉鎖される憂き目に遭ったのではないか、と。

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