日経平均は今年も年末まで上昇を続けるのか 自然災害多発で国土強靭化が改めてテーマに

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安倍晋三首相は、11月8日の閣議で3年ぶりとなる経済対策の策定を指示した。災害対策や世界経済の下振れリスクに備えるもので、2019年度補正予算を編成し、2020年度当初予算と一体で「機動的かつ万全の対策をとる」方針だ。

この対策で国の財政支出は5兆円程度になる見通し。補正予算にはインフラ整備の費用を中心に盛り込み、災害復旧・復興で切れ目のない対応を講じるが、2020年度までの3年間で総事業費7兆円規模を見込む国土強靭化計画の着実な実行も推進する。

国策に沿った業績拡大が期待できる企業とは?

国土強靭化という国策が強力に推し進められるなかで、ビジネスチャンスが拡大する企業も決して少なくはないだろう。ゼネコン全般に活躍の場が広がることは間違いないだろうが、やはり注目しておきたいのはショーボンドホールディングス(1414)。橋梁・高速道路・トンネルの補修専業で、補修・補強の領域では圧倒的な競争力、過去最高の受注残と営業益の更新が続いている。

河川や道路補強等の資材・工事でトップクラスの前田工繊(7821)は河川護岸材や斜面防災製品の需要が一段と拡大しそうだ。産業資材が主力の商社コンドーテック(7438)は土嚢(のう)袋やブルーシートなどの防災・減災関連製品の売上高が着実に伸びている。

かねて景観上の観点で必要性が指摘されながら、進行が遅れていた無電柱化についても、今般の台風による停電多発を受けて取り組みが加速しそうだ。

都市部の電線地中化工事で実績が豊富な協和エクシオ(1951)や、電線ボックスなどに強みを発揮するベルテクスコーポレーション(5290)も中期的な業績拡大への期待が膨らむ。少し変わったところでは、TOA(6809)は防災放送やシステムで自治体からの引き合いが旺盛だ。

今回、紹介した企業については内需型の企業が多く、業績が海外要因に左右されにくいという特徴がある。地味ながら安定的な業績と株価推移が期待できる投資対象として注目していただきたい。半導体関連などハイテク株が上値を追っている一方で、押し目を形成するような局面があれば仕込みの好機と言えるだろう。

有沢 正一 岩井コスモ証券 投資調査部長

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ありさわ しょういち / Shoichi Arisawa

1981年大阪府立大学経済学部卒業。1989年岩井証券入社、株式部、調査部などの勤務を経て、2003年イワイ・リサーチセンターセンター長。2017年5月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。株式投資の対象として有望な企業を発掘するため、関西を中心に企業の調査・分析に取り組むかたわら、個人投資家向けに月10回ペースで株式セミナーの講師を務める。

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