アメリカで急拡大するペット市場が有望なワケ ITも駆使した新領域の拡大も進んでいる

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2018年9月に上場したのがエランコ・アニマル・ヘルス(ELAN)。イーライリリーの動物用医薬品部門がスピンオフして誕生した企業で、家畜向けを主軸に、ペット向けも含めた治療薬やワクチン、健康食品などを手がけている。2019年8月、独バイエルの動物医薬品事業の買収を発表、これにより世界第2位のアニマルヘルス企業へと大きく飛躍することとなった。

拡大を続ける獣医ケア(写真:Zoetis)

アイデックス・ラボラトリーズ(IDEXX)は獣医向けの臨床検査用品の世界的トップ企業で、とくにペット用の動物病院内検査機器や検査キット、ソフトウェアに強みを持つ。

直近2019年1~9月の売上高は前年同期比8%増、純利益も同15%増と業績は好調だ。前述の通り、同業のアバキスがゾエティスに買収されたことを受け一時株価が大きく下落したが復調し、現在は最高値圏で推移している。

ペットの医療費支出増にともない、ペット保険のニーズも高まっている。大手がトゥルーパニオン(TRUP)だ。同社が提供するサービスは、プランが1本だけとシンプルで、補償額に上限がなく、かかった費用の90%が治療終了後に病院に直接支払われるという内容。動物病院や獣医師との提携を強化し、2019年9月末時点の加入登録ペット数は前年の9月末から13万匹増え、61万匹に達している。

ITを駆使したペットテックも本格化

今や多くの分野でITを駆使したニュービジネス「○○テック」が花盛りだが、この分野でも「ペットテック」が本格化している。スマホを利用した留守中のペットの見守りや自動で餌をやる機器、犬の健康状態や行動をモニターできる首輪などは日本でもすでに利用されている。

ローバーの散歩代行マッチング検索結果(写真:Rover)

アメリカで注目を集めたサービスとしては犬の散歩代行ビジネスがある。

散歩を依頼したい飼い主と散歩代行を行う登録者とを専用アプリを使ってマッチングさせるというビジネスで、ワグとローバーが代表的な企業として知られている。こちらも、日本で同様のビジネスが始まっている。

まだまだ成長が見込まれるペット関連市場、先行するアメリカから新たな商品・サービスが登場してくるのは間違いない。

加藤 千明 ファイナンシャル・プランナー、「アメリカ企業リサーチラボ」運営

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かとう ちあき / Chiaki Kato

大手証券会社勤務の後、1993年7月、東洋経済新報社に入社。主に統計指標をベースとした刊行物を担当する一方、電機・化学業界担当記者としてITバブルの全盛期と終焉を経験。その後は、マクロ、マーケットおよび地域動向を主戦場に、データをもとにした分析、執筆などを行う。2005年より『東洋経済 統計月報』編集長、2010年より『都市データパック』編集長。『米国会社四季報』編集部を経て、2021年2月に退社。現在はファイナンシャル・プランナーとして活動するかたわら、アメリカ企業の決算情報を中心にSNSで発信。

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