京急事故、運転士にブレーキ判断の余裕あった? 信号機、当初説明の600m手前からは見通せず
また、どの程度のスピードであれば非常ブレーキを使うかという速度域も、具体的には示されていなかった。「高速でも非常ブレーキで止まる瞬間に衝動が起きたりする。低速でも動き出した瞬間であれば衝動が強く感じることもある。乗客の体勢によって衝動が大きくなったりして、一概に何キロが厳しいとはいえない」(運輸営業部)ためだという。
事故当時、運転士は規定に従って、常用ブレーキを使用した後に非常ブレーキを使用した。「どの時点でどのブレーキを使ったかは調査中」(施設部)だが、列車は結果的に、事故現場となった踏切の中心から約70m(当初は約90mとしていたが、同日訂正した)通りすぎて停車した。
600m手前からは見通せなかったが…
事故現場となった踏切は時速120kmを出せる区間だ。発光信号機は踏切の600m手前から視認できなければならない。
京急は当初、踏切からもっとも遠くに設置する遠方用発光信号機は踏切の手前約340mに設置しており、踏切より600m手前の地点から見通せるとしていた。だが、実際には遠方用発光信号機は約390mの位置にあり、570m手前からしか見通せなかった。
ただ、発光信号機の設置場所や設置箇所は、特に具体的な決まりはない。
一方、複数設置するには条件がある。事故が起きた踏切の手前には、近方、中方、遠方と3箇所に発光信号機を設置しているが、すべての発光信号機の点灯を運転士が切れ目なく確認できる状態でなければならない。
異常をいち早く確認できるように遠方用の信号機を踏切からさらに遠くに配置すると、鉄柱などが中方信号機との間に立ちふさがって視界を妨げる可能性もあった。
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