トミカ、23年ぶりに大幅値上げ 背景にベトナムの賃金上昇

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最低賃金が毎年上昇

外資系企業の誘致を図るため、ベトナムの最低賃金は05年まで6年間据え置かれてきた。しかし、「インフレ率の上昇などを背景に、その後は右肩上がりの状況にある」(第一生命経済研究所の西濱徹・主任エコノミスト)。今年1月にも引き上げられ、ハノイやホーチミンなど都市部の月額最低賃金は前年比14.9%増の270万ドン(約128ドル)となった。

同国のインフレ率は一昨年から1ケタ台に落ち着いてきたが、ベトナム共産党は15年までに最低賃金を310万ドンまで引き上げるという目標を掲げているため、来年も今年並みの引き上げがなされるとの見方が濃厚。今年の改定に当たって30%の引き上げを要求していた労働組合の中央組織「ベトナム労働総同盟」からの圧力も引き続き強まりそうだ。

それでも中国やほかのアジア諸国と比較すると、生産拠点としてのベトナムの優位性はまだ高い。「アジア有数の親日国のうえ、社会保障や諸手当などを含めた年間実負担額は中国やタイの半分にとどまる」(ジェトロ海外調査部の大久保文博氏)ためだ。

ジェトロの調査によると、ベトナムの製造業作業員に対する年間実負担額は3000ドル。対して中国は7503ドル、タイは6936ドルとなっている。2000ドル台のラオスや1000ドル台のカンボジア、バングラデシュなど、ベトナムより安い国もあるが、「安定した電力インフラや産業の裾野が広がっている点は魅力が大きい」(大久保氏)。

タカラトミーも「工場との関係も成熟しており、品質も高まっている。当面、他国への生産移管などは考えていない」(竹内氏)としている。しばらくはベトナムに腰を落ち着ける方針だ。

週刊東洋経済2014年3月1日号〈2月24日発売〉

風間 直樹 東洋経済コラムニスト

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かざま・なおき / Naoki Kazama

1977年長野県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、法学研究科修了後、2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。2014年8月から2017年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。復帰後は『週刊東洋経済』副編集長を経て、2019年10月から調査報道部長、2022年4月から24年7月まで『週刊東洋経済』編集長。著書に『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』(2022年)、『雇用融解』(2007年)、『融解連鎖』(2010年)、電子書籍に『ユニクロ 疲弊する職場』(2013年)など。

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