「出張のホテル代」社員に押しつける会社の問題 出張は観光でも息抜きでもなくただの仕事だ

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出張先での食事代はどうでしょうか?

「出張先での食事代については、実態は食費であり、出張の有無にかかわらず、従業員が負担すべきものであるため、取引先の接待のようなケースを除いて、原則として経費にならず、『出張旅費』にも含まれないと考えられています。

『出張手当』は、交通費や宿泊費とは別に、出張に伴って発生する雑費を賄うためのものですが、そもそも雑費が発生するのか、発生するとしていくらであるのか不明であるため、精算不要としたうえで、あらかじめ決められた金額を一律に支給することが一般的です。

『出張旅費』を実費で精算したうえで、これとは別に、『出張手当』を支給する会社と、『出張手当』という名目で、あらかじめ決められた金額の範囲内で交通費や宿泊費も含めて、自由な支出を認める扱いにしている会社があります。

今回の相談は、『出張手当』という名目で500円を支給するということですが、この金額では、旅費にも満たないことが明らかであり、会社の経費を従業員に負担させていることになるため、違法である可能性が高いでしょう」

出張費について社内規定がない場合は?

そもそも出張の宿泊費に関する社内規定がなく、上司やこれまでの「慣例」などで宿泊費が出ない場合の問題は?

「『出張旅費』や『出張手当』は、出張に伴って支出された実費の精算であるため、労働の対価ではなく、賃金とは考えられていません。そのため、労働基準法には、『出張旅費』などの条文は存在しておらず、これらの取り扱いは、社内規定で処理されています。

『出張手当』については、実際に支出するか否かわからない雑費を、支出したものとみなして支給するものであるため、これを支給しないことにしても法的な問題はなく、社内規定において、『出張手当』を支給しないこととしている会社もあります。

これに対して、『出張旅費』は、実際に支出することが明らかな会社の経費であるため、これを従業員に負担させることはできません。

社内規定がないために、『慣例』で決められている場合であっても、実際に支出された旅費と宿泊費の金額が妥当な範囲のものである限り、立替分を会社に返還請求することは可能と考えられます」

杉山 和也(すぎやま・かずや)弁護士

労働事件を中心に、中小企業の法務、相続、離婚に注力。特に、解雇・パワハラ・セクハラ問題について取扱多数。「オーダーメイドの法律事務所」として、一人ひとりの依頼者に寄り添いながら、ぴったりの解決方法を提案することをモットーとしている。

事務所名:鳳和虎ノ門法律事務所
事務所URL:http://www.houwatoranomon.com/

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